人間科学部 人間科学科
清水 和明 助教
Shimizu Kazuaki

研究分野 地理学、人文地理学

出身地/長野県長野市
生年/1983年
子供の頃の夢/電車の運転手
尊敬する人/大学時代の恩師、研究室の先輩
愛読書/サン=テグジュペリ『星の王子さま』
趣味/カーレース観戦(F1)、まち歩き、書店巡り、読書
好きなTV番組/『相棒』シリーズ、『世界遺産』、大河ドラマ
好きな食べ物/お寿司、お刺身(特にまぐろ)、ビール

人間科学部 人間科学科 清水 和明 助教

自然と人間のかかわりを学ぶ地理学で、
自分自身を深く知るコミュニケーション力を養ってほしい。

身近な食材はどこで誰がどう作っているのか。広く多様な観点をすくい上げる。

山の中で自然や田んぼに触れながら育ったこともあり、学生の頃から農村地域に興味がありました。農業は、後継者がいないとか農機具が高額だとか、苦労を耳にすることも多く、どういった人たちがどう進めているのだろうかと興味をもったんです。現在は、農家の中でも「水田」で作物を作る農家について研究をしています。

数年前まで、国の政策によってお米の作付面積を減らす「減反政策」が行われていたことをご存知でしょうか。ただ減らすと米農家の収量が減ってしまうので、お米を作らない代わりに、田んぼで大豆やそばなどの転作作物を作ると補助金がもらえました。その減反政策は2018年度まで50年近く続きましたので、水田でお米だけでなく豆や穀物を育てる農家は一般的でもあるほど増えたのです。

それと同時に、高齢化や後継者不足も進み、農家でなくとも地域のコミュニティが集団化した組織として、共同で自分たちの集落の田んぼを耕作する動きが各地でみられるようになりました。私は水田農業が盛んな新潟県上越市で調査をしているのですが、こうした集団で管理される田んぼが増えた地域と二極化するように、一軒で広大な面積の作付けをする農家も増加しています。同じ地域の水田農業でもこうしてさまざまなレイヤーがあり、また流通や販売経路の開拓やIoTを活用した作業の効率化など、農業のテーマは多岐にわたります。

あまりにも生活に根付いた作物ですのであまり意識しない人も多いかもしれませんが、普段食べているお米がどこで誰が作ったどんなお米なのかを知ることは、地域社会の理解に密接しているんです。

身近な場所から諸外国の事例まで、異なるできごとの関係性を学ぶ

授業では教職科目の地理学と地誌学概論、教養科目の人文地理学を担当します。地理学では、地図帳を眺めるだけではなく、その土地ごとの地形や気候などの自然現象や、産業、文化、社会といった人間活動を扱います。地表面はいわば私たちの生活の舞台ですので、自然的な条件にはある程度の影響を受けて暮らしていることが深く感じられるでしょう。

近年では気候変動をはじめとする環境問題やそれに関連した社会的メッセージが取り上げられることも増えましたが、それぞれの現象を細かく地域ごとに区切って見ていくと、地域の気候条件によって大きく違いがあり、具体的な現象もそれに対する人々のリアクションも異なります。こうした「地域差」を地理学では注目していきます。

世界の話もしますが、県内や市町村など学生の皆さんにとって身近な地域も取り上げていきます。授業でフィードバックできるようにコメントシートを作って、日常のさまざまなできごとを題材にするつもりです。たとえば「昨晩何を食べたのか」「どこに遊びに行ったか」といった一見地理学には無関係に思える話題も、「その食べ物がどこで作られたのか」「行ってみて楽しかった場所とつまらなかった場所の違い」など、授業を通して現象の関係性やつながりを学んでもらいたいと思います。

出会いを大切に、偶然を含めた変化も恐れなくて大丈夫

地理学のイメージがつきにくいかもしれませんが、実は地域を深く知ることは自分自身を内省することに繋がります。自分を知ることは他者とのコミュニケーションも深め、己と異なる存在に敬意を払うことに繋がるのです。それはつまり、物事の捉え方が特徴的になり、人と違う見方が養えたり、いざという時の判断基準を自分の中にたくさん持つことができます。地理学を学んで社会で働く人たちと話すと、業界を問わず、自分の考えに自信が持てることを強みに感じている印象があります。

また、地理学を学ぶことと、方向感覚は実はほとんど関係ありません。よく道に迷う地理学者もいますし、私も神奈川大学に勤務したての頃に大きく道に迷ってしまい、大学のはるか先まで行ってしまったこともあります。でも迷ったら戻る、それだけのことです。何も問題ありませんし、戻る途中に新しい発見があるかもしれません。手元のスマホの地図は便利ですので、どんどん活用して初めての土地も散策する経験を増やしてほしいですし、一方では、あえて紙の地図を選んだり、何も使わずに電車の窓から外の景色に夢中になったりと、ツールや手段も自分で考えて使い分けてみるのもいい。そうした見極めの目を養い、いつか未来の自分を必ず助けてくれる力を高めてほしいと思います。

学生時代に読んだ本
学生時代に授業で使ったテキストをはじめ、恩師や大学院の先輩方から勧めてもらった本は、今でも折に触れて読み返しています。グローバルな視点とローカルな視点を掛け合わせることの大切さを再確認しています

地形図
現地調査に行くときには2.5万分の1の地形図を必ず持っていきます。デジタルの地図も使いますが、紙の地形図は手放せません。調査から帰って地形図を見直すと現地の記憶と紐づいて新たな発見があります