外国語学部 英語英文学科
中村 ジェニス 准教授
Nakamura Janice

研究分野 バイリンガリズム、バイリンガル教育、言語習得、社会言語学

出身地/マレーシア クアラルンプール
家族構成/夫と長男
子供の頃の夢/考古学者
愛読書/リチャード・ロドリゲス『Hunger of Memory: The Education of Richard Rodriguez』
趣味/水泳、ヨガ
好きな国/イタリア、マルタ

外国語学部 英語英文学科 中村 ジェニス 准教授

ネイティブスピーカーを目指す必要はありません。
母国のアイデンティティを大切に。

日本で子どもをバイリンガルに育てるには?

私はマレーシア出身で、小学生の時にはマレー語・英語・中国語を話すことができました。日本でこの話をすると「すごいですね!」と言われるのですが、多言語国家という環境があれば珍しくありません。しかし、単一言語国家である日本で結婚し、息子が生まれた時に、「どうすればこの子をバイリンガルとして育てることができるのだろう」と考えるようになりました。たとえ両親がバイリンガルでも、子どもをバイリンガルに育てることは簡単ではありません。実際に、私の息子は2歳まで英語しか話すことができませんでした。

この私自身の悩みが、「バイリンガリズム」を研究するきっかけです。最初は息子の二言語発達について調べましたが、その後出会った外国人のママ友の話を聞き……と、少しずつ研究を拡大しました。現在は、複数のルーツを持つ子どもたちに注目しています。日本の公立小学校に通いながら、ネイティブに近い英語の読み書き能力がある子どもたちを対象に、家庭でどんな勉強をしているのか、英語の補習校をどのように活用しているのかなどを調査しています。

不完全な英語でも、どんどんコミュニケーションを

日本では、「英語を学ぶならネイティブレベルにならなくては」という意識が強いと感じています。ですが、日本語が母語だということは変えられないのですから、無理にネイティブを目指す必要はありません。そもそも、バイリンガルといっても二つの言語をネイティブレベルで話すことができる人はごく一部です。ほとんどの人は、一つの言語をベースに、必要に応じてその他の言語を使っています。ですから正確さを追求しすぎないでください。発音のクセも個性です。それを無理に矯正するのは、日本に生まれたというアイデンティティを消そうとしているのと同じです。不完全でもかまいませんから、自分の英語に自信を持って、積極的にコミュニケーションをとってください。「来年は海外へ行きたいから、そのために英語をがんばろう」などと具体的に目標を立てると、より勉強が楽しくなりますよ。

高校や大学時代から外国語学習を本格的に取り組むのは遅くない

私が担当する「英語学習演習」の授業では、「人はどのように言語を習得するのか」を学びます。例えば、「子どもは小さければ小さいほど英語は簡単に身につく」という説がありますが、実際は高学年の子どももしくは大人の方が早く英語を習得している研究結果があります。大人は知識が多いので、文法などを体系立てて学ぶことができるからです。子どもは感覚的に覚えていくので、もっと時間がかかります。また、ほかの習い事と同様、子どもは3歳で英語を始めても10歳で飽きてしまってやめる場合もあります。ですので高校や大学時代から外国語学習を本格的に取り組むのは遅くありません。このように、通説を改めて考察することで、皆さん自身の英語学習にも応用できるはずです。

言い訳ができない環境に身を置くことが大きな刺激になる

大学は長期休暇が多いので、ぜひ海外へ旅をしてください。日本とは違うライフスタイルに触れて、視野を広げましょう。人気の観光地も良いですが、少し回り道をしてみたりして、マイノリティーの文化を味わうことをおすすめします。日本にいては経験できないこと、出会えない人たちとの関わりは、人生を豊かにしてくれます。

機会があれば、留学もおすすめします。日本にいると、「英語が苦手で……」と簡単に言うことができますが、海外へ行ってしまえばそうも言っていられません。逃げ場を封じるのは成長の近道です。ほかの国の学生たちのモチベーションの高さに刺激を受けるでしょうし、文法が得意、発音が得意など、出身国によっての特徴も知ることができ面白いですよ。

日本語の単語ノート
来日した頃に使っていた日本語の単語ノートです。日本語の知識はほぼゼロでしたが、1年間の猛勉強で、大学院の一般入試に合格できるまでになりました。このノートには毎日必ず新しい単語を記入していて、1年で数冊に。外国語を身につけるためには日々の努力が欠かせないと教えてくれているようで、英語を学んでいる学生たちに見せることもあります

アジア各地の伝統衣装
韓国、中国、フィリピン、タイ、インド、マレーシア、ベトナムなど、アジア各地の伝統衣装を20着以上持っています。旅行で買ったもの、母や友人から譲ってもらったもの、お土産でもらったものなどさまざまです。文化の多様性を伝えるために、学園祭などで学生と一緒に着ています