工学部 物質生命化学科
楠本 壮太郎 助教
Kusumoto Sotaro

研究分野 結晶工学、金属錯体化学、機能物性化学

出身地/熊本県
生年/1992年
子供の頃の夢/研究者、プロ野球選手
趣味/温泉、ソフトテニス
休日の過ごし方/ずっとテレビを見ています
好きな音楽/最近はback number、Official髭男dism
好きなTV番組/『しゃべくり007』
好きな映画/『名探偵コナン』シリーズ
好きな食べ物/肉、ウナギ
好きな国/日本

工学部 物質生命化学科 楠本 壮太郎 助教

神奈川大学で最先端の「化学」に触れ、
新しい何かを生み出す挑戦をしてほしい!

金属イオンと有機分子を組み合わせて新規材料を合成

「化学」の面白さは、この世界のさまざまな物質を合成して、つくり出せることです。皆さんが日常的に使っている洗剤や医薬品、洋服の繊維など、ほとんどの商品の材料は、化学的に合成できます。私は、人々の生活を支えるような新しい機能を持った材料をつくる研究をしています。対象となるのは、主に金属錯体と有機分子です。錯体とは、分子の結合体と考えてもらえばいいでしょう。無機材料である金属イオンと有機材料を組み合わせて、新規の化合物を合成している点が私の研究の独自性になります。

実験では、対象となる化合物の分子をデザインしたり、並べ替えたりして、新しい特性を引き出します。分子の並べ方次第で、電導性や磁気特性が変わるのです。分子はナノスケールの物質なので、その並べ方や形づくるものを自由にコントロールするには、高度な技術と知識が求められます。このような研究分野を「超分子化学」といいます。

最近、取り組んでいるのは、「結晶をやわらかくする」という課題です。結晶というと水晶やダイヤモンドを思い浮かべる人が多いでしょう。とにかく“硬い”というイメージですよね。これらは、共有結合結晶と呼ばれていて、残念ながらやわらかくするのは非常に難しい。一方、分子で構成される「分子結晶」なら、分子の並べ方次第で、やわらかくすることが可能だとわかってきました。機能性分子の結晶は、半導体デバイス開発など、さまざまな分野で応用されています。これらをやわらかくすることで加工性が上がると、応用の幅が広がるのではないかと期待されています。比較的新しい研究分野なので、まだまだ分子デザインや並べ方に関して、未知の領域がたくさんあります。どうすれば、分子結晶を自由自在に曲げたり、ねじったりできるか、試行錯誤を繰り返しています。

「偶然を引き寄せる力」が求められるのが化学実験の魅力

大学時代は、理学部理学科で、化学を専攻していました。そのため、社会での応用を意識する工学部ではなく、真理を追究する理学部のメンタリティが根本にあります。ただ、当時から「誰もつくったことのない物質をつくりたい」という目標があり、化学のさまざまな分野を学ぶなかで、現在の研究につながる「金属錯体化学」と出合いました。その後、大学院に進み、機能性材料開発の研究を究めていきます。同じ有機分子に、鉄、コバルト、ニッケルなどさまざまな金属イオンを組み合わせると、特性がどんどん変わっていく。つくってみないとわからないし、常に期待していないことが起こる……とにかく、実験はワクワクの連続でした。いわゆるセレンディピティ(偶然を引き寄せる力)が求められる面白さが、この研究にはあったのだと思います。現在は、工学部物質生命化学科で、「学生実験」などの授業を担当しています。さまざまな器具を用いた実験操作や測定データの扱い方などを通して、化学の面白さ、奥深さを伝えていければと思っています。

自作の新規材料で世界中の研究者に認められるのが目標

授業や実験を通して、学生の皆さんに身につけてほしいのは、自主的に考えて行動する力です。学生時代は、実験手順などを間違えても問題ありません。まずは行動して、もし間違ってもそこからたくさん学んでほしいですね。また、もし夢中になれるテーマが見つかったら、研究を楽しんでほしい。人生の中で、研究に没頭できるなんて、なかなかできる経験ではありません。神奈川大学で最先端の研究に触れ、新しい何かを生み出す挑戦をしてください。できれば、大学院まで研究を続けて、学会発表などにも挑戦してほしいですね。私も自分がつくった新規材料で、世界中の研究者に認めてもらうことが目標です。材料の分子構造を見ただけで、「クスモトの仕事だ」とわかるような成果を残したいですね。

「やわらかい結晶」でつくったイニシャル
初めて自身で合成した「やわらかい結晶」でつくったイニシャル。Kanagawa Universityの略です

修士と博士修了時にもらった寄せ書き
修士と博士修了時にもらった寄せ書き。後輩から自分に向けてのコメントと思い出の写真たちが詰まっています。手前が修士修了時、奥が博士修了時のもの