工学部 数学教室
中村 憲史 助教
Nakamura Kenji

研究分野 解析学

出身地/新潟県
生年/1990年
尊敬する人/浪人時代、学生時代にお世話になった先生方
趣味/読書、英語の勉強
休日の過ごし方/家事、書店めぐり、仕事
好きなTV番組/ドキュメンタリー番組、お笑い番組

工学部 数学教室 中村 憲史 助教

未解決問題で有名なナヴィエ-ストークス方程式から
水や空気といった「流れ」の謎を解き明かす。

自然界における流体現象を数学という言語で読み解く

川の上流から下流へと水が流れる。時にはその進む向きや速さを変えながら。我々の身の回りには、こうした自然現象が数多く存在しますよね。これを数学という言語で解き明かそうとすると、その多くが偏微分方程式というもので記述されます。私が研究している「ナヴィエ-ストークス方程式」は、流体の運動状態を記述した偏微分方程式です。流体というのは、水や油、空気やガスなどで代表される「液体」と「気体」のこと。ナヴィエ-ストークス方程式は、懸賞金付きの未解決問題もあるほど重要な方程式であり、部分的な解決に留まっていることでも知られています。気象予報にも応用されるほどですが、その予報が外れることがあるのは、ナヴィエ-ストークス方程式がまだ完全には解けていないからだとも言われています。

世の中にはさまざまな流体が存在しますが、我々の体内にも面白い性質をもった流体が存在します。例えば関節内にある関節液は、普段は液体として潤滑剤のように働きますが、衝撃が加わるとゴムのようにふるまい、衝撃を吸収してくれます。このような性質をもつ流体の運動状態も、ある種のナヴィエ-ストークス方程式として記述されます。数式として表された方程式がどのような条件下で解をもち、どういう数学的性質を有するのかということを、さまざまな数学的手法を用いて調べています。

「流れ」や「動き」への興味が数学と合致した

思い返してみると、幼い頃から「流れ」という現象にすごく興味がありました。小川の様子を眺めてみたり、洗濯機の中をじっと覗いてみたり。数学を最初に面白いと感じたのは、中学校で「関数」を習った時だったと思います。点の動く状態を数式として表す、いわゆる動点の問題に興味を惹かれた記憶があります。高校時代は、物事の変化を捉える際に必要となる「微分積分」を習って、より一層数学にのめりこむようになりました。将来は高校の数学教員になろうと思い大学に進学しましたが、学びを深めるなかで自然現象を数学的に解析する方法があることを知り、色々調べるうちにナヴィエ-ストークス方程式に興味を持つようになりました。子どものときの素朴な関心と好きな学問分野が噛み合い、今に至っています。学生に教えながら自分の研究を進めることができる今の環境にはとても満足しています。

数学はなにか出発点があって、そこから理論を積み重ねて結論を導くので、人と意見の対立が起きなくていいと思います。得られた結果やその証明は、まるで寸分の狂いもなく建っている建造物のようで、美しさを感じることさえあります。もちろん、そこにたどり着くまでには修行僧さながらの地味な作業が必要になりますが。受け持っている「微分積分学U・A・B」の授業では、そうした地道に積み上げていく数学の面白さにも触れてもらえるよう工夫しています。難しいと思う問題も、今までに習ったことを正しく応用すれば確実に解けるということを感じながら、楽しく取り組んでほしいと思っています。

基礎を習得し、「形無し」ではなく「型破り」に

「型破り」と「形無し」という言葉がありますよね。18代目中村勘三郎さんがあるときテレビで発していて、とても印象に残っている言葉です。基本的な作法が身についていない状態で創造性を発揮しようとしても、それは何の形にもならないということです。このことは、少なくとも数学という学問の世界においてはよく当てはまります。授業や研究活動を通して、自分の専門分野や興味のある分野の型を身につけ、それを極めてみてください。また、勉強だけでなく部活やサークル、アルバイトといった課外活動にも取り組んでほしいです。どちらかだけでは不十分で、一人孤独になりすぎることも、人と群れすぎることもよくありません。これらの活動を通して、そうした自分なりのバランス感覚を掴んでほしいのです。そして、「型」をしっかりと身につけた、感性豊かで柔軟性のある「型破り」をできる人になってほしいと思います。

ポトス
大学生になり一人暮らしを始めたときに買ったポトス。少々手入れ不足な感じは否めませんが、10年以上経った今でも青々とした葉をつけてくれます

『基本からわかる英語リーディング教本』『富田の英文読解100の原則』
『基本からわかる英語リーディング教本』(薬袋善郎/研究社)、『富田の英文読解100の原則』(富田一彦/大和書房)。学生時代に読み、英語の勉強を趣味にしてくれた本。文法的判断を最優先した緻密で一貫性のある解説が大変面白く、今でも時おり読み返しています