工学部 電気電子情報工学科
塚本 三六 准教授
Tsukamoto Sanroku

研究分野 電子デバイス、電子機器

出身地/岐阜県土岐市
生年/1961年
家族構成/4人
趣味/オーディオ(自作)
休日の過ごし方/体を動かし、汗を流す。頭は使わない。
好きな音楽/クラシック
好きな国/スペイン

工学部 電気電子情報工学科 塚本 三六 准教授

次世代の高速通信を支える
アナログ/デジタル変換器を開発しています。

アナログ信号は現在も情報通信を支えている

日本のテレビ放送がアナログからデジタルへ移行したのは2011年のことでした。今やスマホやPCなど、身の回りのあらゆるものがデジタルになっていて、一方のアナログに関しては時代遅れの代名詞のように思われるかもしれませんね。しかし、そんなことはないんです。実はアナログなしではこの世の中は成立しません。例えば、自然界に流れる「音」はアナログの情報です。これを記録する際には、センサーで電気信号(アナログ信号)に換える必要があります。そしてこの音をスマホに取り込んで聞きたいと思ったときに、アナログ信号をデジタル信号に変換する必要があります。デジタルが生まれるには、前段階に必ずアナログがあるというわけです。私はこの、アナログ情報をデジタル情報に変換する「A/D変換器」の研究に長らく携わってきました。

スマホでは写真や動画、音声通話、あるいはWi-Fi等の無線通信機能が搭載されていますが、それらにはA/D変換器が使われています。4Gや5Gといった通信技術の発達においてもA/D変換がキーになってきました。私は30年ほど電機メーカーに勤め、主にこうした高速通信の分野における開発に取り組んできました。今後も、現代の通信システムにおけるキーデバイスのひとつである高速A/D変換器の開発に貢献できればと考えています。

大学の専門は材料工学。しかし気づけば電気電子の道へ

大学の先生と言うと、割と一本筋の通った研究をしてきた方が多いと思うのですが、その意味で私はかなり特殊な道を歩んできたと思います。大学時代の専門分野は材料工学で、主にセラミックスなどを対象に研究してきました。電気電子分野とはまったく無関係だったんですね。しかし、高校生の頃からオーディオやアンプなどに興味があり、それがこの分野に導いてくれることになります。所属していた材料工学系の研究室の担当教員に、「壊れたオーディオを自分で修理したい」と相談したのが最初でした。その方がなぜか電子回路に詳しい面白い先生で、その指導のもとでアンプを自作することもあったんです。私としては専門の研究よりもむしろそちらの方に熱を入れていました(笑)。

それでも卒業後の就職先は材料系の企業にしたのですが、3年が経って電機メーカーに転職しました。「やっぱり電子回路がいい!」という強い意志があったというよりはたまたまだったように記憶しています。そこで勤めるなかで、大学の恩師から学んだことが活かされるなど偶然が重なり、仕事にやりがいを見つけていくようになりました。回路設計の業務と並行して学会活動も行い、周囲の理解と協力もあって、最終的に博士号を取得することができました。企業にいた頃は大学との共同研究という形で学生に指導することがあり、いずれは大学で教えたいという気持ちも芽生えていました。それで、定年退職したのち2021年の4月に神奈川大学へ着任したという流れになります。

授業は「電子回路U」と「集積回路工学」を担当しています。教員1年目からオンライン授業が多く少し苦戦していますが、基本をしっかり頭に入れてもらいつつ、その知識を柔軟に応用できるようになってほしいと思いながら授業内容を構成することに努めています。

「好きでやっている人」には到底敵わない

大学で学ぶ学問や社会に出てからの仕事には、伸びる伸びないが必ずあると思います。そこには飲み込みの早さや頭の良し悪しもあると思うのですが、「好きでやっている人」には到底敵わないと思っているんです。「人は遊び戯れるために生まれてきた」というお釈迦様の言葉がありますが、この「遊び戯れること」を大学で見つけてほしいと思っています。好きなことについて勉強するのはもはや勉強だと思わず、遊びのように感じるはずです。努力を苦しいものと思わずできる。私の学生時代のように、大学での専門分野以外でもいいので、何か好きなものを見つけてみてください。難しいかもしれませんが、好きなことをしていればそれはいつでも見つかると思います。

関数電卓
大学卒業後に、最初に就職した会社を退職する際、会社の仲間から餞別としてもらった関数電卓。以来35年以上、仕事で肌身離さず、苦しい時を共にしたアイテム。これのおかげでここまで生きのびることができたと言っても過言ではない、ほとんどお守りのような存在

アンプ
かれこれ40年前に、大学の研究室でお世話になった恩師の思想と指導のもとで自作し、電子回路の世界にのめりこむ最初の一歩となったアンプ。回路自体は負帰還に頼らず線形特性を出すことを前提としていた。半導体回路の世界でもこの基本理念を押し通し、気が付けば数十ギガHzの信号を扱う世界ではこれが当たり前であり、自分にとっては信ずればば救われるということを実証した、いわば宗教的な意味合いのあるアンプ