経済学部 経済学科
舟橋 秀治 准教授
Funahashi Hideharu

研究分野 ファイナンス、金融工学、数理ファイナンス

出身地/神奈川県横浜市神奈川区
尊敬する人/私の指導教官(恩師)、ファラデー(化学者・物理学者)
愛読書/岩波講座「現代物理学の基礎」
趣味/登山、筋トレ
好きなTV番組/「Full House」(ABCテレビ)、「銀河鉄道999」
好きな映画/スタジオジブリ作品

経済学部 経済学科 舟橋 秀治 准教授

経済理論と金融実務の架け橋「金融工学」を使い、ビジネスにおける
リスクとリターンを定量的に分析する研究を行っています。

金融機関がリターンに応じて適切にリスクテイクできる環境を整える

過去30年間の金融市場に関する理論と実証分析の進歩は目覚ましく、多種多様な金融サービスが登場しました。特に、「デリバティブ」と呼ばれる金融商品の登場を“マネー革命”と表現する人もいます。デリバティブの登場で巨万の富が動くようになった一方で、2008年のリーマン・ショックでは経済危機の引き金にもなりました。このような時代背景から、金融機関はリスクとリターンを計量的に分析・管理する必要に迫られています。その結果、金融における工学的アプローチが「金融工学」という学術体系として整備されてきました。

金融工学では、「数理モデル」を用いることで、未来の不確実性により生じるリスクを定量的に分析することができます。数理モデルでは、問題の本質と関係のない(もしくは影響が小さい)部分を除外し、核心部分だけを強調して表現します。そうすることで問題が単純化され、問題の本質が見えてきます。また、数式を使って理論を構築することで、前提となる仮定の下では、対象のシステムの特性が同一の手法により再現します。このように仮定を共有することで、論理的で厳密な議論が可能になります。加えて、既に確立した数学の理論や計算機科学の英知を利用することができます。

近年の金融工学の広がりは、金融機関における資産運用、リスク管理、デリバティブのプライシングなどに留まらず、企業の合併や買収(M&A)、投資戦略や事業計画の立案、資金調達や最適資本構成の問題など企業経営の根幹に関わる問題にも応用されています。

ところで、リスクテイクは決して悪いことではありません。通常のビジネスでは、高いリターンを追求するためにはリスクを取る(リスクテイク)必要があります。つまりリスクテイクこそが収益の源泉ですから、リスクを避けるだけでは経済は発展しません。したがって、リスクを適切に把握し、管理する必要があります。最近では、ビックデータやAIの技術を駆使して、証券会社や銀行が抱えるリスクを顕著化する経済モデルの開発や、高速にリスクを把握することを可能にする数値計算法の研究を行っています。金融機関がリターンに応じて適切にリスクテイクを行うことのできる環境を整えることで、経済の発展に貢献したいと考えています。

講義を通して、未知の困難に対応できる問題解決能力を培ってほしい

ファイナンス理論は、金融資産(株式や債券など)に投資を行う投資家の観点から考察する「証券投資論」と、企業の財務に関わる事柄を考察する「コーポレートファイナンス」に大別されます。さらに前者には、現代ポートフォリオ理論やデリバティブズ論などがあります。講義では、ファイナンス理論を初めて学ぶ人を対象に、簡単な数学の知識を説明しながら、具体的な事例を交えて平易に解説し分かりやすく説明するつもりです。

ゼミでは、金融機関へ就職を希望する方はもちろんのこと、会社の経営・管理を目指す方などを対象に、現実のさまざまな問題に対してファイナンスの理論を当てはめ、C++などのプログラミング言語を用いて計量的な分析を習得するカリキュラムを提供します。講義を通じて、自ら考え実践するための応用力の育成を目指しています。

ファイナンス理論は、数学とりわけ統計・確率の知識を応用し、不確実性に起因するリスクに対して最適な答えを導くことを生業としていますが、不確実性からくるリスクは金融に限ったものではなく、日常生活の至るところに存在しています。講義やゼミでの研究を通して論理的思考を身に付けることで、現実に起きている問題の裏側にある本質を見抜き、深く考え、解決する能力を身に付けてください。このような科学的思考のエッセンスを身に付けることで、将来社会に出てから未知の困難に対応できる問題解決能力を養うお手伝いができれば、望外の喜びです。

大学での失敗はかすり傷。すべてに全力で挑もう

大学は学びの場です。そして、学びに失敗は付き物です。学生のうちに、1つか2つの成功と、100の失敗を経験してください。授業についていけない、アルバイト先の人間関係が上手くいかない…。その時は重大な悩みのように感じるかもしれませんが、人生を左右するほどの失敗ではありません。

どうしても自分に合わなければ、方向転換をして、自分が勝てるフィールドを探せばいいのです。学生のうちならそれができます。社会人になって壁にぶつかった時に自力でそれを乗り越えられるよう、大学ではたくさん失敗して、そこから多くを学んでください。

人は、成功よりも失敗から学習するといわれています。エジソンは、白熱電球の開発に難航して諦めるよう説得された時に、「失敗なんかしちゃいない。うまくいかない方法を一万通り見つけただけだ」と答えたそうです。新しいことに挑戦して失敗することは、成功への架け橋です。授業・ゼミ・アルバイト・サークル活動など、何にでも一生懸命取り組んでください。

懐中時計
アメリカのハンプデン社で1898年に作られた懐中時計です。122年の時を経た今もなお、研究室の机の上で元気良く時を刻み続けています。毎朝、研究室でまずこの時計のゼンマイを巻くことがルーティンになっています。カチカチと時を刻む音がとても気に入っていて、デジタルの時代にアナログの良さを感じています

『The Principles of Quantum Mechanics』(P.M.A.Dirac/Oxford)
『The Principles of Quantum Mechanics』(P.M.A.Dirac/Oxford)。大学時代に、自分と同じくらいの年齢の人が書いたこの本を読んで、物理学という学問の歴史と人材の厚みに圧倒されました。自分がより活躍できるフィールドを探し、誕生して間もない金融工学へ転身するきっかけとなった本です