国際日本学部 国際文化交流学科
山口 太郎 准教授
Yamaguchi Taro

研究分野 風土・景観論、観光地理学、都市地理学、観光地研究

出身地/神奈川県
生年/1974年
趣味/まち歩き
休日の過ごし方/まち歩き、買い物
好きな音楽/ユーミン(松任谷由実)のファン
好きなTV番組/トーク番組

国際日本学部 国際文化交流学科 山口 太郎 准教授

景観を学ぶと、いつもの風景が変わって見えてくる。
身近なまちを深く知ろう。

ようやく見つけた「景観」という研究テーマ

中学生の頃からずっと地理が好きで、大学では地理学科に入りました。ただ、既存の地理学の内容よりも講義であまり触れられなかったまちの構造に興味を持つようになって、建築学の本ばかり読み、暇があれば東京をあちこち歩き回っていました。そのまま大学院へ進み、いよいよ地理学に力を入れなくてはという時に、「景観」という考え方に出会って「これだ!」と決めました。地理学と建築学・都市計画論を融合させたような内容で、研究を展開できると思ったのです。それからはずっと「景観」を研究テーマにしています。

「景観」とは、まちを構成する建物や自然などの見た目と、形成過程などの目に見えない部分との関係性といえます。例えば、住宅の外観から「地域らしさ」を抽出するという研究をしたことがあります。いくつかの住宅地を取り上げ、エリアごとに数百軒の住宅を調査し、門の有無や壁の色などから、地域の特徴を見つけるのです。すると、「生垣が多い」「駐車場のある家が多い」など、エリアごとにある程度特徴が見え、それが地形や建物の建築時期とも関わっていて興味深いです。

まちの特徴は、地形の影響をうけていることが多くあります。例えば、「渋谷」など「谷」が名前に付くまちは、その名の通り土地が低い場所です。ですから地下鉄は、「谷」が付く駅では地上に出ることが多い。こうした背景を知った上でまちを眺めると、見え方が変わってきませんか。

まちは誰かの意図でつくられている

「地理」というと、地形などをイメージすることが多いかもしれません。ただ、「地理学」の分野はもっとずっと広いのです。授業では、そのまちの歴史や政策、人々の行動なども学びます。なぜなら、それらがまちの成り立ちに大きな影響を与えているからです。まちは自然に生まれたわけではありません。社会の動きや誰かの意図など、何かしらの理由があってまちはでき上がっています。例えば、電車の座席の手すりはなぜ端だけでなく真ん中にも付いているのかというと、スペースを空けず、座る人数を最大にするためでもあります。公園のベンチの肘掛けは、ベンチで寝転がるのを禁止するために付いているともいえます。まちのあらゆるものは誰かの意図によってつくられ、私たちは知らず知らずのうちにその影響を受けているのです。

手すりや肘掛けのことなど、考えてもみなかったという人が多いでしょう。私の授業が、こうした「当たり前のことを改めて考えてみる」きっかけになればと思っています。何事にも「なぜ?」と問いかける習慣を付けて、豊かな想像力を持った人になってください。授業の前と後とでは、きっと見慣れた景色が変わって見えてくるはずです。ぜひ一緒に横浜のまち歩きをしましょう。

深く、ローカルに。深掘りすればいくらでも学びがある

今でこそ「まち歩き」という言葉がありますが、私が学生の頃はそんな言葉はありませんでしたし、それが趣味になるなどとは認知されていませんでした。ですから、「散歩」としかいいようがなかったのですが、東京のあちこちを一人でずいぶん歩き回ったものです。「自分が感じたまちの雰囲気を言葉にして伝えたい」という当時の思いが、今の研究の原点になっています。

グローバル化が叫ばれる時代ですが、私はあえて「深く、ローカルに」と伝えたいです。海外まで行かなくてもいいのです。横浜でも東京でも、地元でもかまいません。場所はどこであれ、普段とは違う視点でものを見て、深く突っ込んで考えることは、多くの学びを与えてくれるはずです。

『東京の空間人類学』(陣内秀信/筑摩書房)と『見えがくれする都市』(槙文彦・他/鹿島出版会)
『東京の空間人類学』(陣内秀信/筑摩書房)と『見えがくれする都市』(槙文彦・他/鹿島出版会)。どちらも建築学の先生の書籍で、学生時代に「これこそが俺のやりたい地理学だ!」と読みました。「都市構造を読む」という手法を教えてもらった、私のバイブルです

旧食糧ビルディング
もう現存していませんが、旧食糧ビルディングです。隅田川にかかる永代橋の近くにあった、アーチと中庭が印象的な建築物でした。高校生の頃に見ていたドラマのロケ地で、今でいう「聖地巡礼」をしました。まち歩きの原点です