理学部 総合理学プログラム
小笠原 強 教授
Ogasawara Tsuyoshi

研究分野 魚類を材料とした動物の環境適応機構

生年月日/1948年4月2日
血液型/O型
出身地/宮城県仙台市
休日の過ごし方/ごろ寝、デパ地下徘徊
好きな映画/「カサブランカ」
好きな音楽/すべて
好きな食べ物/激辛、過度に塩分のあるもの何でも
好きな国/タイ、オランダ、フランス、スペイン、イタリア

理学部 総合理学プログラム 小笠原強教授

大きく変容する大学のなかで、
大学教員として何ができるのかいまだに模索中です。

サカナとのつきあい

魚類の環境塩濃度適応生理学をやっているつもりです。環境が変わったときに、サカナがどういうふうに体を変えて生き抜くか、ということを調べています。サケは川で生まれ、海で生活してまた川に戻ります。体のメカニズムをガラッと変えて、体液に守られた細胞の環境を一定にしているからなのです。他にもメダカなど、淡水でも海水でも生きる種類がいます。ヒトも含めた生物の適応能力は計り知れません。淡水魚と海水魚は、環境がクロスしても生きていけるのかもしれません。

私は生まれついての釣りマニアです。「イワナに会いたい!」という一心で北大の水産学部に紛れ込みました。その延長で大学院。ホントに釣り三昧です。釣り具と珈琲のコジャレた店をやろうかって、真面目に考えていました。その後、声をかけられるままに東大の助手になり、いつしか神大の教員になり……です。そんな“たまたま”の連続であって、研究室をもつことなどユメにも思いませんでした。でも“自然体”というのは、案外強いのかも知れませんね。机上の知識や理屈じゃなくて、すべて体に染みついていますから。これで真面目な研究者がマネできない、妙な成果が出るといいのですが……?

今、この時代の大学教員がなすべきこと

こんな風にやってきたから、自分は果たして今の時代の“大学教員”に適しているのか、という葛藤があります。本来大学とは、専門の勉強や研究を通して次世代に何かを託す場所のはずですが、高校生の誰もが大学に進学するようになった現代では、なかなかそうはいきません。

これからの大学は、まずは「考え方のノウハウ」から教えるべきなのだと思います。それは専門分野に限定したものではありません。自分の考えをもたず、まわりに影響されてあっちへいったりこっちへいったりしないで済むように。自分はこう考えるからこっちへ行こう、と一歩踏みとどまって考えられるように。そのための「考える力」を身につけてほしい。そういう考え方を教えるトレーニングを、教員側もしなければいけないのです。

すでにそこに気がついている教員はかなりいるかと思います。そして何より当の学生たち自身も、危機感をもちはじめている気がします。そういう姿を見ていると、教員として現状を嘆いてばかりはいられません。学生にとっては、われわれは最後の学校の教員なのです。何とかできる限りのことをして社会に出してやらなければ。ここが教員の腕の見せどころであり、かつ試練なのかもしれません。“自然体”で教員をやってきた私も、果たしてこの試練に耐えられるかどうか、正念場です。

生物の授業を通して「生きるとはどのようなことか」を伝えたい

私自身は、たとえば魚の話や生理現象といった生物学の細かい専門分野について教えているときにも、「生物が“生きている”ということを通して、“生きるというのはどういうことなのか”の本質を一緒に考えてみたい」との思いを意識しています。意識していれば、言葉の端々にそれがにじみでてくるはずですから。

これから大学へ入ってくる生徒さんたちには、「神大にまかせろ、悪いようにはしないから!」と言いたいし、われわれも学生を信頼しなければいけない。そしてもうひとつ、学生さんたちには「先生をおだてろ」と言いたいですね。廊下であったら頭を下げるだけでもいい。先生はそれだけで嬉しい“単純人間”なんです。

※小笠原 強先生は〈理学部・生物科学科〉にも掲載しております。

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