大学生時代に手にしたキットに始まった
ちょうど私が大学生の時、日本初と思われるマイクロコンピュータの組み立てキットを買ってきて、もうそれは夢中になりましたね。一つずつは単純なモノなのに、兼ね合ってくると、こうも複雑に動き出すのだと、その面白さはたまりませんでした。いつしかコンピュータ何台かを連動させて処理を速くしようと並列処理を行うようになり、その後、インターネットが出て来て分散処理ができるように。そんな時代を経て現在に至るわけですが、私はマイクロコンピュータの誕生から、その過程をずっと見守ってきたといえるのでしょうね。
私自身の研究は「進化するプログラム」をテーマに、プログラムの自動生成に取り組んでいます。コンピュータは与えられたプログラムに従って高速自動処理するもの。スピードはあるけれど柔軟性には乏しいので、もっと融通の利くシステムに変化させようとしています。その一つが、「走っている最中の自動車のタイヤ交換」のような、動作中の組換え作業をコンピュータ・システム上で行おうとする、基礎技術開発の取り組み。これは、現在では、自動販売機も株取引も、ネット上のホームページにしても、24時間プログラムは動き続けているので、メンテナンスにもひと苦労。でも一瞬の隙があるはずで、どんな確率で訪れるかを数学的に研究しています。でも、ここで重要なのが、決め過ぎたプログラミングだと、この先の進化を阻むことになるので、手順を考えたプログラムの組み立てがポイントになります。
割り切れなさが面白さ
コンピュータ・サイエンス自体が、数学理論のようにキレイなモノで押し切れるほど簡単ではなく、複雑さを引きずっているところがあり、なかなか割り切れません。そこが難しくもあり、だからこその面白さともいえるでしょう。
自分が関わっているコンピュータではあるのですが、近頃、見えない世界が増え過ぎてきているように感じます。とても進歩の速い分野なので、ひょっとすると、この分野の誕生から死滅までを目撃することになるやもしれません。
生徒たちには、大学時代は、定めた目標に向けて取り組む時間にしてもらいたいと思います。小さな失敗はいくらでもあるし、でもそこから回復して、意欲を失わず、また別の方法を試して邁進する、そんなタフさを持ち得ることも大きな目標に辿り着ける、成功の秘訣だと知っていてもらいたいですね。

ハイテクの研究の原点となった、マイクロコンピュータの組み立てキット「TK80」。現在の数万分の一ほどのメモリ量だったが、当時の最新で10万。自作の拡張メモリとDAコンバータ付き。大学生であった1977年頃のことで、これでCPUと機械語を学んだ

子供の頃から手作業に関心があって、自分のモノ作りをする原点は、この砥石にあるのではと。浅草にある「といしや」で、1977年頃に買い求めたもの。『道具曼荼羅』には、職人らによる大工道具が掲載されていて、砥石に興味を抱くきっかけとなった本



