理学部 化学科
菅原 正 教授
Sugawara Tadashi

研究分野 有機物理化学、ソフトマター

生年/1946年
血液型/A型
出身地/東京都
家族構成/妻、長女、長男、アンディ(牡犬)
趣味/歌舞伎鑑賞
子供の頃の夢/電車の運転手になること
尊敬する人/夏目漱石
愛読書/『草枕』 (夏目漱石)、『歌行燈』(泉鏡花)
休日の過ごし方/昼寝、軽い柔軟運動、講義の準備
好きな映画/スティング
好きな音楽/モーツァルト
好きなTV番組/「開運!なんでも鑑定団」
好きな著名人/三代目猿之助
好きな食べ物/鴨南そば
好きな国/フランス

理学部 化学科 菅原 正 教授

目に見えない量子化学の世界を、
頭のなかでイメージできるようになろう。

電子は粒子でありながら波の性質も持っている

私が担当しているのは「基礎物理化学Ⅰ」(1年後期)と「基礎物理化学Ⅱ」(2年前期)の授業です。「基礎物理化学Ⅰ」では量子化学の基礎について学びます。化学結合は電子どうしの相互作用によって形成されます。ですから、我々の身の回りにある物質の性質を理解するには、どうしても電子の“ふるまい”を知る必要があるわけです。ところが電子は粒子でありながら波の性質も持っているため、そのふるまいを理解するのはかなり難しいのです。特に量子化学は目に見えないミクロな世界を扱うため、初めて学ぶ人にとってはチンプンカンプンになることが多いようです。そこをどうやって自分なりに納得し、きちんとしたイメージをつくれるかが大切です。我流のイメージをつくってしまうと、後々になって修正がきかないので、最初のところで、素直に新しい考え方に慣れるようにしてください。

「基礎物理化学Ⅱ」では熱力学について学びます。熱力学は量子化学とは対照的に、エネルギーの出入りや、物質が変化する方向が何で決まるかを、マクロなレベルで取り扱う論理的な学問体系です。やや抽象的なところがあるので、基礎的事柄を具体的に理解できるように、ほぼ毎週、確認のための練習問題を配布し、採点の上、解答用紙を返却するようにしています。

これらの科目は、現代の化学をバランスよく学ぶ上で根っことなる学問ですから、しっかり身に付けてください。各自が学んだことを友達同士で互いに議論するのが役に立ちます。議論しているうちに理解が深まることはよくありますから。

学問においても「本物」を知ることは重要

量子化学や熱力学などの基礎科目が完全に理解できていなくても、とにかく合成の実験が大好きで、難しい化合物でも上手に作ってしまう人がいます。化学の合成というのは、ある種、持って生まれたセンスに左右されるところがあって、仮にそういう才能を持った人が、もっと先へ進めば得意な分野と出会う機会があるのに、苦手な科目に悩んでしまって、そこで挫折してしまうというのはもったいない話。そういうことをなくすためにも、基礎科目の内容を分かり易く、でも、きちんと教えていきたいと思っています。

大学では、何事にも好奇心を持って挑戦すること、そして、そこから得た経験を自分で納得するまでよく考えること、この二つの面が重要だと思います。また、これは何事にも通じますが、早いうちから優れた音楽や芸術、芝居などを鑑賞していると「本物」がわかるようになると言われています。それと同じで、大学にいるうちに素晴しい書物や研究に出会うと、本物の研究とは何かが分かるようになると思います。

化学、物理、生物など幅広い分野から注目された人工細胞

化学の面白さをひとことで言えば、分子を組み合わせると予想外の性質が出てくることです。分子が集まると、分子一つひとつからは想像もつかない新しい性質や挙動が見えてくる。だから、巧く組み合わせると、有機物でありながら電気が流れたり、磁性を持つ物質ができたりします。そこに化学の面白さと有用性があるのではないでしょか。

私自身は、数年前に磁石と金属という二つの性質を持ち、磁場をかけるとよく電気が流れるようになる有機物質を合成しました。さらに10年程前から、ソフトマターと呼ばれる分野に興味を持ち、人工細胞を化学物質で作る研究を始めました。細胞を構成する不可欠な要素は「境界」(細胞膜)と「情報」(遺伝子)と、細胞を維持するために必要な「触媒」(酵素)です。これらが連携しあって自己増殖していく反応系を、人工細胞と呼ぼうという提案があります。そこで我々はまず、ベシクルと呼ばれる分子集合体を、細胞膜にみたてて、ベシクルが自然に増えていく反応系を作りました。さらにこのベシクル内部にDNAを入れ、ベシクルとDNAが連携して増殖していく人工細胞モデルを構築したのです。この論文を発表したところ、国内外、さらに物理、化学、生物など幅広い分野から、たいへん大きな反響がありました。現在は、何回も繰り返して自己増殖する人工細胞を作る研究を続けています。

昔の教え子からのつながりで知って好きになった川端紘一画伯の画集
昔の教え子からのつながりで知って好きになった川端紘一画伯の画集。ここ数年、銀座などでの個展を見に行っている。もともと洋画家だったのだが、墨に興味を持って独自のタッチを生み出したという。墨を使ったスケッチが美しい

『Basic Principles of ORGANIC CHEMISTRY』(John D Roberts)
『Basic Principles of ORGANIC CHEMISTRY』(John D.Roberts)。大学時代、私が初めて手に入れた英語の有機化学の本。1964年に初版が発行され、これ以前と以後では大きく流れが変わった。現在、出版されている本はすべて本書の亜流とも言える