理学部 生物科学科
安達 健 助教
Adachi Takeshi

研究分野 神経生物学、分子遺伝学

出身地/千葉県
血液型/B型
趣味/歩きながら考えること
愛読書/『荘子』『ダンス・ダンス・ダンス』(たまに読む)
好きな映画/「ソナチネ」「オール・アバウト・マイ・マザー」
好きな音楽/YMO
好きな著名人/北野武
休日の過ごし方/昼間は実験して、夜は居酒屋に出掛けたりします

理学部 生物科学科 安達健 助教

学生時代は「考える時間」がたっぷりあります。
ぜひ自分で調べて、考えるということをしてほしい。

“繊毛(せんもう)”について言えば、ヒトと線虫は似たもの同士

体長わずか1mmの“C. エレガンス”という線虫をモデルに、多くの生物の細胞表面にある繊毛について研究しています。この線虫という小さな生物には、味やにおいを感じることができる鋭敏な器官があります。嗅覚神経細胞や味覚神経細胞の先端に繊毛があり、そこでさまざまな刺激を受け取っているのです。この繊毛という構造はヒトの網膜や腎臓にもあり、驚いたことに、線虫の繊毛内にあるタンパク質とヒトの繊毛内にあるそれとは、非常に似ているということが明らかになっています。繊毛の機能に限定すれば、線虫とヒトはよく似ていると言えるのです。そうした共通点から、線虫は繊毛の研究分野で活躍してきました。海外では、ヒトの繊毛の病気を解明するために線虫を利用できるのではないかと、医学的な立場からも注目を集めています。

今、私が取り組んでいるのは、線虫の繊毛の形が異常になる“変異体”を探すことです。線虫の遺伝子に突然変異を起こさせて、繊毛の形に異常がある線虫を集め、それらの遺伝子のどの部分が壊れて異常が起きているのかを解析していくつもりです。こうした繊毛の形成機構を明らかにしようとする研究も、例えば医学への貢献といった大きな流れにつながる、大切な仕事のひとつだと思って取り組んでいます。

何のための実験かを理解することが大切

担当授業の「生物科学実験Ⅰ・Ⅱ」では、実験のサポートをしています。生物科学を学び、研究する上で必要となる基本的な技術を扱うこれら授業では、週に約10時間にわたって実験を行います。例えばタンパク質やDNAの量を測ったり遺伝子を解析したり、あるいは植物を見たままスケッチするという観察の実習も行います。学生の皆さんは実験手順を予習してきてくれますが、その実験手法によってどのようなことが分かるようになるのか、研究のどのような場面で用いられるのかを理解していないことがあります。この授業では、実験の手順や技術を身に付けるだけでなく、実験の目的を理解することも重要な狙いです。そこをうまく理解してもらえるように心がけています。

また、学生の皆さんには、ぜひ自分で考えるということをしてほしいと思っています。今は、インターネットの発達で情報があふれているうえに、報道メディアでは誤った情報が流れていることもあります。そういうものを鵜呑みにせずに自分で調べ考えてみると、気づくことが多々あるはずです。科学と日常生活が切り離せない今日ですが、現場にいる科学者の意見に触れる機会がとても少ないと感じます。授業での実験や卒業研究は貴重な機会なので、ぜひ現場の雰囲気を感じてほしいと思います。

学生時代は「考える時間」がたっぷりあります。勉強にしても研究にしても何にしても、大事なことは何なのか、時には自分で考えることに時間を費やしてみてください。

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