理学部 生物科学科
豊泉 龍児 准教授
Toyoizumi Ryuji

研究分野 発生生物学、脊椎動物の左右非対称性

出身地/東京都杉並区
趣味/社会人合唱団にしばらく入っていました。今は活動していませんが、よく歌っている夢を見ます。歌い足らないのかも・・・
子供の頃の夢/心理学を研究すること。今では生物学がいちばん好きですが
尊敬する人/日常の中に、身近な人の中に、沢山います
愛読書/手塚治虫の『火の鳥』。高橋留美子の諸作品。十代の頃は星新一のショートショートを何度も読み返していました
休日の過ごし方/最近は、殆ど大学に来ていて、平日と変わらない毎日です。fruitful monotony(豊かなる単調な日々)が座右の銘です
好きなTV番組/ニュース番組。最近のニュースは、想像を超えるものが多いですね
好きな食べ物/カレー、コーヒー
好きな国/日本

理学部 生物科学科 豊泉 龍児 准教授

巧妙にできている生物の体。
そこに宿る実力と美しさを感じてほしい。

生物学においては観察力がとても重要

神大の生物科学科では、毎年、海の生物をスケッチして、その名前を調べるという臨海実習を行っています。この「スケッチ」は、生物学、中でも発生生物学という分野においては非常に大切な技術です。発生生物学とは、簡単に言えば受精卵がどのような過程を経て成体になっていくのかを研究する分野で、そこでは基本的に観察力がものをいいます。

最近はデジカメで簡単に写真を撮影することができるのでスケッチをしなくてもいいじゃないかという議論もありますが、私の場合はレポート提出にあたって「写真も付けていいけれど、スケッチは必ず付けなければダメ」という形にしています。自分の手で描くことにより生物の特徴を掴むことができ、さらに正常体と変異体との見分け、要するに間違い探し的なスキルがアップするのです。顕微鏡でのぞいた対象物が正常かどうかを瞬時に見分け、変異があれば、それがどういったメカニズムの反映としての変異なのかを探っていくのが発生生物学。ある意味、推理小説のようなものかもしれません。

生物が持つ「美しさ」に気付いてほしい

生物の世界には、さまざまな生活のスタイルを持つ動物がいます。ヒトを中心とした我々の世界観に反するような生き方をしている動物が、何故、これまで生き長らえてきたのか。私が担当している「動物機構学」の授業では、そんな広い観点から動物に対する興味を持ってもらうことに主眼を置いています。授業では毎回クイズのような、すなわちあまり生物の知識がない学生でも答えられるかわりに、かなり頭を使う小問を数問出し、2〜3分間で履修者全員に考えてもらうようにしています。そうすることで、生物学は暗記科目だという錯覚を解き、「何故?なに?」という問題意識から先人が生物学を構築してきたのだということを分かってもらいたいのです。

生物の体は実に巧妙に出来ています。他の生物との相互作用も、実に不思議な阿吽の呼吸があります。生物学の内部には、確実に一つの美があります。学生たちにはサイエンスを通じて、生物の美しさを生物学を学ぶ人間の視点で見てほしいと思います。即ち、単に花鳥風月を愛でる、というのではなく、それぞれの生き物の力量を知った上で、その実力を認め称えてほしいのです。

例えば世界中の浅い海に生息している「ナメクジウオ」という動物がいます。見た目はうろこのない体長数センチの魚のような生き物ですが、魚ではありません。彼らはプランクトンなどを食べて慎ましく生活している、一見、パッとしない動物ですが、実は我々脊椎動物の進化について考える上でとても重要な生物です。生物学を目指している学生は、やはり動物好きな人が多いようです。中でも犬や猫のような、いわゆる哺乳類が好きな人たちに、こういった地味な動物の重要性に気付いてもらうことが、教える側の醍醐味ですね。

日本発生生物学会誌
助手時代に発表した論文が掲載された日本発生生物学会誌。どちらも論文に使われた写真が表紙を飾った

コリドラス(ナマズ目の魚)
卒研生たちが最近、飼育を始めたコリドラス(ナマズ目の魚)。よく見るとヒゲがあるのが分かる。この魚は観賞魚として人気があり、家庭で飼う人も多いので専用のエサなども売られているが、発生学的にはまだ未開な研究対象である