理学部 生物科学科
泉 進 教授
Izumi Susumu

研究分野 生化学、分子生物学、昆虫生理・生化学

出身地/富山県
趣味/音楽鑑賞、写真、カメラなどの機械いじり
尊敬する人/Frederick Sanger(フレデリック・サンガー/イギリスの生化学者)
愛読書/好きな作家は太宰治、井上靖
休日の過ごし方/音楽鑑賞、家族サービス、気が向けば料理
好きな映画/ディズニー「ファンタジア」
好きな音楽/クラシック、特にドイツ音楽、中でもモーツァルトの楽曲
好きな食べ物/和風の家庭料理、香辛料のきいたエスニック料理
好きな国/日本

理学部 生物科学科 泉進教授

遺伝子というのは生き物の設計図。
昆虫の変態を分子レベルで解析しています。

カイコの変態に注目

高校生の後半あたりから生き物に興味を持ち始めたんですね。さらに大学で学んでいく中で、生化学と分子生物学の分野の面白さにのめり込んでいきました。そして大学院では昆虫の研究をする教授の研究室に籍を置き、以来、昆虫の変態という現象を、遺伝子の発現調節に注目して、分子ならびに細胞レベルでの解析を進めています。実験動物には完全変態昆虫の蚕(和名でカイコガ)を使用。もう30年の付き合いになるでしょうか。

昆虫の生化学の分野では実験動物としてカイコ、タバコスズメガ、トノサマバッタ、ゴキブリ、ショウジョウバエなどが一般に使われます。例えば、ショウジョウバエを研究すればヒトが理解できると言われますが、これは生きていくために必要な基本的遺伝子がヒトと共通していて、ショウジョウバエで解明されたことは基本的にヒトにも当てはまると考えられるからなのです。

研究で昆虫を見続けていると実に面白い現象を目の当たりにすることになります。特に変態は面白く、カイコであれば卵から孵化して幼虫(1齢)になり、外骨格の大きさいっぱいに成長すると脱皮します。それを4度繰り返して5齢幼虫になると、活発に餌を食べ絹糸腺という器官の中に大量の絹糸の素となる物質(本体はタンパク質)を溜め込みます。絹糸腺に十分に糸の素が溜まると、足場となるような場所を探して、糸を吐き始めます。繭を作るために白い絹糸を丸二日間吐き続けるのです。そして繭の中で脱皮して蛹(サナギ)となり、さらに羽化して、成虫の蛾となります。このダイナミックな変化には、昆虫の世界ならではの興味深さが潜んでいます。

遺伝子の神秘のベールをはがすために

よく耳にする遺伝子というのは、言わばその生き物の設計図です。その生き物の一生がどういう状態であるべきかがすべて書き込まれています。基本的に遺伝子はタンパク質の構造についての情報を暗号化しており、それが正確に働くことによって生命活動が正しく営まれます。我々人間も多細胞生物ですが、発生の過程で細胞の分化が起こるのは遺伝子発現の結果であり、正常なタンパク質がつくられることで細胞は正確に分化できるようになります。遺伝子の周りにはたくさんの発現を調節する場所があります。そこに様々なタンパク質が結合して遺伝子の発現を巧妙に調節しています。

この発現調節というのをカイコの脂肪体(脊椎動物の肝臓と脂肪組織の機能を併せ持つ器官)における血清タンパク質遺伝子の発生段階や環境状況、また性特異的な発現調節機構を昆虫ホルモンと関連付けて解析しているところです。また変態において、外見上、最も顕著な変化を示す外皮(クチクラ)の構築機構についても生化学的手法を用いて解析中。分子レベルの神秘な部分を物理化学の法則で明らかにしたいというのが、私の最大の研究テーマなのです。

自然科学は観察から始まる

大学という学びの場には知的好奇心を満足させる環境が整っています。4年間の学生生活は何ものにも代え難い時間ですから、思う存分、常にエネルギーの高い状態を維持して、自分を高めていってもらいたいですね。そして理学部では英語を重視していますので、これもしっかり学んで欲しいところです。と言うのも世界では次々と研究成果が発表されますが、それらはすべて英語で書かれているからです。遅れをとってはなりませんからね。

自然科学への第一歩とは、まず観察することから。あらゆる事象に対して、常になぜと感じることから、すべては始まります。

※泉 進先生は〈理学部・総合理学プログラム〉にも掲載しております。

愛用のカメラ
父親のカメラ好きに影響されて、中学生の時にプレゼントしてもらった愛用のカメラ。もう40年も使い続けている、今では珍しいハーフサイズのカメラ「オリンパス ペン D3」。当時は自宅の押し入れに暗室を作って現像や引き延ばしを行った。今は、大学に向かう途中、座禅川沿いに咲く花などを撮っている

昆虫生化学・分子生物学の専門雑誌『Journal of Insect Physiology』
昆虫生化学・分子生物学の専門雑誌『Journal of Insect Physiology』(1994)には、自身の研究内容「卵黄タンパク質の構造、生合成、胚発生過程での計画的分解」についての原稿が掲載されている