理学部 生物科学科
井上 和仁 教授
Inoue Kazuhito

研究分野 光合成の起源、光合成を利用した水素エネルギーの生産

出身地/東京都
血液型/B型
趣味/自分の子供の成長記録をビデオで撮ること
子供の頃の夢/昆虫・動物の写真家または科学者(博物学者)
尊敬する人/ダーウィン
休日の過ごし方/子供と一緒にサイクリング
好きな映画/「スタートレック」
好きな国/アメリカ

理学部 生物科学科 井上和仁教授

理学部のカリキュラムは
“人間の素養づくり”だと思います。

物事には階層性がある

理学系を目指す理由として、「どうしてこうなるんだろう?」を知りたい! 調べたい! という人が多いですよね。寝ることも食べることも忘れて没頭することはないかな、と探しているのが理学系の人だと思います。そして、大学に入って勉強をして研究を深め、さらなる研究課題を見つける。それはやっぱり、前の研究とつながりのあるものへと続いていく。

私の専門は生化学ですが、これからのキャリアを考えていたとき、脳のことを研究してみたいとも思ったことがあります。それは、今までの研究や知識を活かせるもので、脳の神経細胞をやっていけば、階層的に社会学とか神経学とか、あるいは人間ってものはなんだろうってこともわかるかなとも思いました。(まあ、紆余曲折があって今の研究に至るわけですが−笑−)。

こう考えると、生化学の基本は化学になっていくし、化学の基本は物理現象になっていくし、人間だって集まれば集団になって社会になる。ああ、物事には階層性というのがあるんだなということがわかりました。

光合成をするバクテリアを使って水素を作る

ここ数年、私の研究室ではシアノバクテリアという藻類の一種を使って光エネルギーを水素に変える研究を行っています。シアノバクテリアは自然界に存在するバクテリアで、植物と同じように光合成を行う能力をもっています。通常の植物は光合成によって光エネルギーから有機物を生成しますが、シアノバクテリアをバイオテクノロジーによって改良して水素をたくさん作らせるように変えるのです。

近年、バイオエタノールやバイオディーゼルなど、さまざまな化石燃料に代わるエネルギーが開発されていますが、それらを大量に生産するためには、広範囲な土地や反応を進めるための大量の栄養分が必要になります。そのため必要なエネルギーすべてをそれらでまかなうことは困難です。そこでいま私たちが進めているのは、将来的に海洋上に大規模なバイオリアクター(生物反応容器)を設置し、シアノバクテリアを使った大規模な水素生産を実現しようという提案です。まだまだ実用化には超えなければいけないハードルは多いですが、神大内に「光合成水素生産研究所」というプロジェクト研究所を立ち上げ、研究に力を入れはじめているところです。

専門性と一般教養のバランスが大切

理学部を卒業すると、全員が研究者になるかといえばそうではなく、会社員になったり、学校の先生になる人もいます。さらに研究者にとっても必要なのは専門性だけではありませんよね。製品開発者なら、特許の問題や経済・マーケティングなど、研究以外に幅の広さが求められるでしょう。

工学部や農学部でも生物系があると思いますが、そこには目的があります。でも、理学部というのはちょっと違って、理学部のカリキュラムが目指しているのは『人間の素養』なのです。だから、理学部を目指す人たちには、高校までに、自然科学、社会科学、人文科学にまたがるいわゆる教養をしっかり身につけてもらいたいと思います。そして、大学3年生までにより高い基礎や専門性を学び、4年生で卒業研究に着手してもらいたいのです。

専門性には、ひとりひとりバランスがあるものです。幅が狭く専門性が深い人もいれば、幅が広くて専門性が浅い人もいる。専門性と一般教養のバランスがとれると安定して美しい三角形ができます。いちばん理想なのは高さ(専門性)がやや高い二等辺三角形ですね。学生たちが、きれいな三角形になれたとき、教師として何よりも嬉しく思います。

※井上 和仁先生は〈理学部・総合理学プログラム〉にも掲載しております。

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光合成の進化に関するアメリカとの共同研究論文がScience誌に掲載され、その表紙を飾った。光合成の起源を知るために、地球上に生き残っている光合成をする細菌の遺伝子などを調べ、系統樹を書き、どういう光合成生物の起源が古いかを調べてまとめたもので、現在の研究の基礎となっている