経営学部 国際経営学科
金谷 良夫 教授
Kanaya Yoshio

研究分野 英語、英米文学、アメリカ学

趣味/ゴルフ
愛読書/『ハックルベリー・フィンの冒険』(マーク・トウェイン)

経営学部 国際経営学科 金谷 良夫 教授

毎日、勉強する習慣を。
そして人との出会い、本との出会いを大切に。

きれいな英語を声に出して読む

英語を勉強するときに、私が挙げるポイントは三つあります。まずは「構文力」をつけること。さらに必要なのは「語彙」。それにプラスして「音読」です。英語圏へ留学しなくても、「音読」をきちんとやっていけばネイティブと変わらないような発音ができるようになります。そこで重要なのは「いい文章を繰り返し音読する」こと。いい文章というのは、文法的にも整っている文章のこと。例えば1863年のリンカーンのゲティスバーグでの演説などがそうです。“...government of the people, by the people, for the people.”の一文が有名な演説ですね。これは4分程度の短いスピーチですが、非常にまとまっていて音読向きです。例えば“It is altogether fitting and proper that we should do this.”という一文があるのですが、それはshouldの用法にかなっている。いい文章を音読することは、正しい構文の勉強にもなるのです。さらにそれを覚えてしまえば、構文そのものが知識としてたくわえられます。そのため私の授業では、このゲティスバーグ演説をときには暗記してもらっています。学生たちも、最初は大変そうにしていますが、覚えられたときにはかなりの充実感を得ているようですよ。

大西洋を29回も渡ったマーク・トウェイン

私が研究のテーマにしているのはマーク・トウェイン。日本では『トム・ソーヤーの冒険』がアニメーション化されたことなどもあり、子ども向けの児童文学者と思われていることが多いのですが、実は彼はアメリカのシェイクスピア≠ニ呼ばれる、アメリカ文学の生みの親です。もちろん彼が登場する以前にも、エドガー・アラン・ポーやハーマン・メルヴィルといったアメリカ人作家はいましたが、彼らの文学の基準はイギリスでした。それに対して、アメリカ土着の文学を作ったのがマーク・トウェインなのです。

私がマーク・トウェインについて学び始めたのは、アメリカ留学中に作品を読み、キャシー・デイヴィッドソンという教授に習ったことがきっかけです。それから現在に至るまで研究を続けているのですから、人との出会い、そして本との出会いは貴重なものだということをしみじみ感じます。今もトウェインに対する興味は尽きることがありません。

彼は執筆活動と同時に、さまざまな講演も行っています。特に50代後半になってからは、事業の失敗で抱えた負債を返済するため、世界中を講演して回りました。20世紀初頭までにアメリカ東海岸からヨーロッパへ、大西洋をなんと29回も渡っているのです。私は『マーク・トウェインコレクション』という20冊シリーズのなかでスピーチ集を翻訳したのですが、彼が講演するのはありとあらゆる事柄について。例えば著作権について、婦人の参政権について、モラルについて、ヴィクトリア女王について、ビリヤードについて、サンフランシスコ大地震についてなどなど。そのため翻訳は本当に大変な作業で、おかげで「一行ででも毎日やる」という習慣がつきました。ちょっと息抜きを、などと思って休んでしまうと、頭を戻すのが大変なのです。ちょうどスポーツや楽器と同じですね。だから学生にも、「毎日勉強する習慣を」と言っています。

ゼミで参加した99年のFOCスポーツ大会、綱引きの部で優勝した際のトロフィー ゼミで参加した99年のFOCスポーツ大会、綱引きの部で優勝した際のトロフィー。記念に研究室に飾ってある

20年かけて刊行された『マーク・トウェインコレクション』(彩流社)
20年かけて刊行された『マーク・トウェインコレクション』(彩流社)。No.17の「スピーチ集」の翻訳と、No.2「ミシシッピの生活」の解説を執筆した。スピーチ集は本邦初の訳だったため、人物名などの注釈をつけるのが大変だった。日本では調べきれないので、アメリカの研究所へ行って資料にあたるなどして、完成までに2年8ヶ月かかった