経営学部 国際経営学科
行川 一郎 教授
Namekawa Ichiro

研究分野 マーケティング論、新製品開発やイノベーションと消費者行動との関わり

生年/1948年
血液型/A型
家族構成/妻、子供1名
趣味/昔はカメラ、今は地図研究
子供の頃の夢/発明家。いろいろな言語を覚えること
愛読書/『失敗の本質』(中央公論社)
尊敬する人/J.F.ケネディ
休日の過ごし方/パソコンでネットサーフィン
好きな映画/「カサブランカ」「ローマの休日」
好きな音楽/スウィングジャズ(1950〜60年代)
好きなTV番組/なし (今のTV番組はどれもつまらないと思う)
好きな食べ物/甘いもの
好きな国/アメリカ合衆国 (=マーケティング発祥地)、ベトナム(=誠実な国民性)

経営学部 国際経営学科 行川一郎教授

マーケティングでは「売ろうとする」ことより、
むしろ「知ろうとする」ことが重要。

マーケティングは失敗から学ぶもの

私の研究室には、過去の有名なマーケティング事例に関わるグッズがいくつか飾ってあります。例えばフォード自動車博物館から取り寄せた、アメリカで 1950年代に作られたフォードEDSELという車の模型。これは「値段の安い大衆車」というイメージで綿密なマーケティングを基に、フォード社が命運をかけて開発した車でした。買い手として想定されていたのは白人の中産階級。ところが開発に2〜3年かかってしまい、発売される頃には、「日曜日は大きなワゴン車に乗って家族全員でドライブしよう!」というのがトレンドになってしまっていたのです。結果的に、この車はまったく売れず、今も「自動車業界のタイタニック」「マーケティング史上最大の失敗例」と言われているほどです。

そんな失敗の事例をなぜ飾っているのかと言えば、マーケティングの研究に役立つのは、実は成功例ではなく失敗例だから。成功した人のやり方を真似しても、しょせん二番煎じですから大きな成功は見込めません。本当に成功するには、その一歩先を行かなければいけない。そのため、マーケティングを学ぶためにはむしろ失敗例の方が役に立つのです。

マーケティングの要は「知る」こと

マーケティングというのは、企業が製品やサービスを消費者の元に送り届ける活動を総称したもの。単に「売るため」の活動と思いがちですが、現代のマーケティングはもっと幅広くなってきています。

1960年代にアメリカで初めて提唱され、日本の消費者基本法の根本でもある「消費者の4つの権利」というものがあります。当時のアメリカというのは極度の浪費社会で、悪い商品をつかまされてもだまされた方が悪いという考え方が主流でした。そんな中、消費者には「安全である権利」「知らされる権利」「選択できる権利」「意見を反映させる権利」という4つの権利がある、という新たな考え方を提唱したのは、あのJ.F.ケネディでした。今日のマーケティングはここから始まったと言われています。

こんなふうに、いろんなところでいろんなものがつながっている。それを「知る」ことがマーケティングの第一歩。相手のことを「知る」、世界の仕組みを「知る」・・・。それは言葉を替えれば、さまざまなものに「関心を持つ」ということでもあるのです。

スマトラ沖大地震被災地を支える日本の歌

私が最近知った歌に「心の友」があります。2004年12月に発生し、13万人もの死者を出したインドネシア・スマトラ沖大地震。マグニチュード9.3という信じられないような大災害にもかかわらず、私たち日本人は意外とその実態について知りません。またその現場で、復興に取り組む被災者たちの心を五輪真弓の「心の友」という歌が支えたということも、ほとんどの日本人が知らないでしょう。この歌はかつてインドネシアで大ヒットし、今も「第2の国家」と言われているほど国民に愛されているのです。

このように日本に親近感を持っているアジアの国々のことを、我々日本人はあまり知りません。21世紀を本当の意味でアジア中心の世紀とするためには、ぜひとも日本とアジアの若者たちが共同で世界を牽引して行かなければなりません。そのため重要なのは、まずアジアの国を「知ること」。インドネシアで知人にこの歌の存在を教えてもらい、改めて強く実感しました。

史上最大の失敗作といわれるフォードEDSELの1/18のミニチュアカー
史上最大の失敗作といわれるフォードEDSELの1/18のミニチュアカー。「愚かな市場調査がもたらした悲劇の自動車」などと言われている。マーケティングでの最も有名な失敗例

研究室に飾ってある1950年代のアメリカの広告
研究室に飾ってある1950年代のアメリカの広告。他にもたくさんストックがあり、季節ごとに取り替えている