法務研究科(法科大学院) 法務専攻
栗田 陸雄 教授
Kurita Mutsuo

研究分野 民事訴訟法

生年/1946年
血液型/B型
出身地/新潟県新潟市
家族構成/妻、長男、長女、次男。長男と次男は法律家の端に連なっています
趣味/読書、古典音楽鑑賞
子供の頃の夢/書物に囲まれた生活をすること
尊敬する人/伊東乾先生(慶應義塾大学名誉教授・恩師)
愛読書/専門書を除けば、特に繰り返し読むような愛読書はありません
休日の過ごし方/自宅で、普段通り講義や演習の準備をしています
好きな映画/「第三の男」
好きな音楽/モーツアルトの作品
好きなTV番組/特にありません。学生の啓発に役立つような司法関係の番組は見るようにしています
好きな著名人/小澤征爾氏
好きな食べ物/肉類を好みますが、この頃は小食です
好きな国/ドイツ。留学経験があり、良い思い出があるので

法務研究科(法科大学院)法務専攻 栗田陸雄 教授

今はまだ、自分の将来像が明確ではないかもしれませんが、
好きなことを継続していけば、いつか必ず道は開けます。

当事者の主体性を確立し、権利を守る裁判

皆さんが、家族や友達と共同生活を営む家庭や学校の中にも、皆が幸福に過ごすため、さまざまな約束ごとがあると思います。「民法」とは、これと同じく社会における市民同士の約束のことです。この約束の順守に関して紛争が起きたとき、多くの場合は当事者同士の話し合いで解決しますが、解決できない状況に陥った場合、その手助けをするのが民事裁判所です。そして当事者が裁判所に対して紛争解決を求めることを訴訟といい、訴訟の手続きに関するさまざまな決まりごとを「民事訴訟法」といいます。

私はこの「民事訴訟法」を専門としていますが、一般の人には、あまりなじみのない法律ではないでしょうか。刑事事件の分野では2009年に裁判員制度が施行され、国民が裁判員として裁判に参加するようになったものの、民事事件の分野ではアメリカやドイツなどに比べると、まだまだ日本では、一般の人が裁判に直接関わることは多くはありません。しかし、情報があふれ、生き方や考え方がますます多様化する社会で、ある日突然、裁判の当事者になる可能性も全くないとは言えないでしょう。

現在は“訴訟において、当事者の主体性を確立し、また当事者の手続保障をどのように実現したらよいか”というテーマに取り組んでいます。日本の民事裁判では、自分の権利を主張する当事者が、自ら証拠を集め準備して裁判にのぞまなければなりません。これは個人対個人の裁判であれば問題ではありませんが、たとえば個人対企業の場合には明らかに力の格差があります。このような不公平を是正するため、現在では、力の強弱に関わらず、個人が持つ権利を認めた上で裁判を進めるべき、という考え方に移行しつつあります。このように、民事訴訟において当事者の権利をいかに守るか、また裁判所の在り方をどのように考えるか、といったことを研究しています。

大学の恩師との出会いがきっかけで専門の道に

子供の頃から読書が好きで、小説や歴史物に始まり、あらゆるジャンルの本を読みました。当時の通知表によると、授業中にも好きな本を読んでいたようです。将来は本に囲まれた生活をするのが夢で、いつしか学者になりたいと思うようになりました。

大学の法学部に進み、3年生から始まるゼミの説明会で、恩師である伊東乾先生に出会ったことが、現在の専門に進んだ大きなきっかけでした。先生が、ご専門の学問について語る圧倒的な迫力に引きこまれたのです。そしてゼミの最初の講義で、先生が「どんなことでもよいから、自分の好きなことをひとつ決めてやり通しなさい」とおっしゃったことから、ドイツの民事訴訟法の本を一年かけて読み通しました。これが民事訴訟法に関する研究の始まりです。学部卒業後は大学院に進み、さらに専門的に勉強しました。伊東先生は、法哲学をはじめ法学全般について広く学び、その知識を民事訴訟法の研究に集約されていたので、私も先生の紹介で原秀男先生に法哲学を教わり、法哲学と民事訴訟法との融合を目指して学びました。

これから大学生活を始める皆さんや、現在大学で勉強中の皆さんは、まだ自分の将来について明確なビジョンは見えていないかもしれません。どの道に進むか迷っている人も多いでしょう。けれど、“漠然と”でもいいので、好きなことや興味のあることを追究し、持続していけば、いずれ道は開けます。また、特に法学を学ぶ皆さんには、司法試験に合格するための勉強だけではなく、総合的に法学を学び、探求心をもって主体的に勉学に取り組んでほしいと願っています。

伊東乾先生編著による『原典による法学の歩み』
恩師であり、尊敬する人でもある慶應義塾大学名誉教授・伊東乾先生編著による『原典による法学の歩み』。法律の専門家に“法律学とはどうあるべきか”と問いかける専門書であり、一部執筆を担当し、製作を手伝った

『自然法』は、A.フェルドロースの著作を原先生と共訳したもの
大学院では、伊東先生の紹介により原秀男先生の下で法哲学も学んだ。『自然法』は、A.フェルドロースの著作を原先生と共訳したもの。自然法とは、人間が作ったものではなく、自然の事物に存在する不変の法とされ、人間が法律を作る際、考え方の基準になるとされる