法学部 法律学科
葭田 英人 教授
Yoshida Hideto

研究分野 会社法、税法

出身地/石川県加賀市
血液型/A型
家族構成/4人と1匹
趣味/釣り、園芸、犬の飼育、旅行
子供の頃の夢/科学者
休日の過ごし方/趣味
好きな映画/歴史大作
好きな音楽/気に入った曲ならジャンルを問わない

法学部 法律学科 葭田英人教授

大学の授業やゼミを通して、
公平なものの見方や考え方を身に付けよう。

会社法の行き過ぎた規制緩和がもたらす弊害

会社法という言葉を耳にしたことはあるでしょうか? これは会社の設立や組織、運営、管理などについて定めた、2006年5月に施行された新しい法律です。この法律はアメリカの影響を非常に強く受けており、その施行の背景には規制緩和を促し、自由な市場を作ろうという経済界の要望があります。しかし、そこにはいくつもの問題点があると指摘されています。その問題点を検討し、解決策を考えるというのが私の研究です。

例えば、会社には取締役が違法行為をすることなく経営を行っているかどうかをチェックする監査役という役職があります。しかし、この監査役の候補者は、社長を中心とした取締役会が推薦する形(ただし、監査役の同意が必要)になっているのです。これでは実質的に監査機能が働かない可能性があります。また会社法は、監査役だけでなく会社内で組織的に不正がないかをチェックする「内部統制システム」を一部の会社を除き設けるように規定しました。とは言え、法律を守るかどうかは会社次第というのが現状ですから、うまく機能するとは限りません。各会社に法律を守らせる、あるいは守らざるを得ない状況を作り出して行くことは、大変、難しいことなのです。

また、現行の会社法では、これまでにあった最低資本金制度を撤廃し、1円で株式会社が設立できるようになりました。新たに会社を起こしたい人を奨励しようという経済政策の一環です。しかし、資本金1円の会社が倒産した場合、その会社に物を売った取引先やお金を貸した銀行などの債権者はどうなるのでしょう? 資本金がほとんどないため、財産の分配もできず、債権者にお金は返ってきません。会社法では、問題が起きた場合は自己責任ということで、債権者が訴訟を起こして解決しなさいということになっています。裁判には日数も費用もかかりますし、決着もそう簡単にはつきません。経済の活性化を目指すことは悪いことではありませんが、あまりに規制緩和が行き過ぎると、このように債権者保護の面などで問題が発生します。もちろん、がんじがらめの規制は問題ですが、ある程度の規制は必要であり、今後はそのような動きになるのではないかと私は考えています。

自ら調べ、発言し、反論されて考えるうちに、自分の意見が持てる

学生には知識ばかりではなく、公平なものの見方や考え方を身に付けてほしいと思っています。大学の授業やゼミは、それを学ぶ訓練の場です。例えば、ゼミで学生が何か意見を述べた場合、私は必ず別の立場から見たらどうかという質問を返すようにしています。会社にとって利益になることでも、取引先などの債権者から考えたらどうか?株主の立場では?従業員の立場では?と、それぞれの立場から考えさせ、多面的に見て公正な意見が言えるかどうかをトレーニングするのです。偏ることなく、いかに利害調整をするかということが大切なのです。また、月に一度、学生たちが選んだテーマでディベートも実施しています。学生たちはグループに分かれて作戦を練ったり、事前にテーマについて図書館で調べたりして積極的に取り組んでいます。自分で調べ、発言し、反論されて考えて・・・と繰り返すうちに、自分の意見が持てるようになります。そういう訓練を大学の学びの中でしっかり経験してほしいと思います。

『コーポレート・ガバナンスと会計法』・『会社法入門』
『コーポレート・ガバナンスと会計法』は、会社法のことを深く知りたい人のための研究書。『会社法入門』は、授業のテキストとしても用いている入門書。いずれも2008年発行の近著

『創業と会社変更のための会社法―中小会社・合同会社・特例有限会社―』
税法や会社法に関する著書。『創業と会社変更のための会社法―中小会社・合同会社・特例有限会社―』では、株式会社や合同会社など、さまざまな企業を比較し、その長所・短所や税制の違いなどの問題点を挙げている