法学部 法律学科
吉井 蒼生夫 教授
Yoshii Tamio

研究分野 近現代日本の法の歴史に関する研究

出身地/埼玉県所沢市
生年/1947(昭和22)年
趣味/ハイキング、絵画・音楽鑑賞
子供の頃の夢/プロ野球選手
尊敬する人/言行一致・責任感のある人
愛読書/思想家、芸術家などの書籍
休日の過ごし方/趣味を生かして過ごす
好きなTV番組/MLB(大リーグ野球)中継、サスペンスドラマ
好きな食べ物/魚料理、鮨

法学部 法律学科 吉井蒼生夫教授

法律の“歴史”を学んで“今”を考える。

近現代150年の法の歴史から見えてくるもの

皆さんも「六法」という言葉を聞いたことがあると思います。これは、憲法、刑法、民法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法で、日本の主要な六つの法典の総称ですが、私が担当している「日本近現代法史」は、これらの法律がいつ頃どのような過程で作られたのか、法と法学の歴史を学ぶ講義です。日本の近現代(幕末の開国、明治維新から第二次世界大戦後の改革を経て、現代の日本の体制が作られるまで)における国家と法の軌跡をたどります。

日本の法律は、明治初期に西ヨーロッパの近代法を取り入れて作られましたが、最初にベースとなったのはナポレオン時代のフランスで作られた「フランス五法」です。今では皆さんは普通に「権利」という言葉を使っていますが、当時はそうした思想も言葉もありませんから、翻訳の苦労は並大抵のことではありませんでした。暗中模索しながらフランス諸法典の翻訳に取り組んだ箕作麟祥(みつくりりんしょう)らが、一語一語を漢学者と相談して法律用語を作り出していったのです。

また、ゼミでは日本における法と法学の150年の歴史を学ぶだけでなく、現在、日本で起きているさまざまな法律問題も考えていきます。例えば、2007年5月に国民投票法が成立したことで、憲法改正の是非が国民一人ひとりに問われることが現実味を帯びてきました。その時、感覚的な判断だけで日本の国の行く末を左右するようなことは避けなければなりません。法律、特に二つの憲法(1889年の「大日本帝国憲法」と1946年の「日本国憲法」)の歴史を学ぶことで判断材料が見えてくることもあり、歴史は決して現在と無関係ではないのです。

目的意識を持って自分で学ぶ習慣を身につけよう

フランスの詩人、ルイ・アラゴンの言葉に「学ぶとは胸に誠実を刻むこと、教えるとは共に未来を仰ぐこと」というのがあります。大学の授業は講義を聴くだけの一方向型ではなく双方向型であり、教える側と学ぶ側の信頼関係とコミュニケーションが大切だと思います。

私は学生たちに目標を持って学生生活を過ごしてもらいたいと思っています。国内外の社会的問題への関心や目的意識を持って、自主的に学習する習慣をぜひ身に付けてほしいのです。自分が好きなことや目標を見つけることができれば、今まで自分が気づかなかった思わぬ能力を見い出せることもあります。そうした一人ひとりの潜在能力を伸ばしていけるように援助することも、私たち教員の役割だと思っています。

社会に出ればいろいろな制約も出てきますが、大学時代の4年間は自分の意志で自由に使うことができるとても貴重な時間です。それを、何の目標もなくただダラダラ過ごしてしまうのはとてももったいないことです。勉強以外のことでも良いから何か打ち込めるものを見つけてください。例えば、趣味のことでも良いと思うのです。そういうものがあると社会に出て困難に直面した時もそれが心の支えとなり、めげない、折れない自分でいられます。

また、大学時代は友達、先輩、先生など、さまざまな人との出会いの場でもあります。自分がその気になれば、4年のうちにいろいろなことができます。この大学に入学して良かったいう満足感を抱いて卒業していってほしいと願っています。

著書『近代日本の国家形成と法』
著書『近代日本の国家形成と法』(日本評論社、1996)(左)、『日本近現代法史(資料年表)』(共編/信山社、2007)(中央)。日本近現代法史研究の恩師、故・福島正夫先生の著作集(全九巻/勁草書房、1993〜1996)刊行にあたり、一巻の編集・解説を担当させていただいた(右)

生誕150年の年に代表的な論文を集めて編集した、『小野梓 独立自主の精神』
明治前期の自由民権家で、立憲改進党を結成し、民衆からの国づくりを提唱した小野梓。33歳10カ月の若さでこの世を去ったが、彼の思想と歩みを若い人にも知ってもらおうと、生誕150年の年に代表的な論文を集めて編集した、『小野梓 独立自主の精神』(冨山房、2003)