人間科学部 人間科学科
川嶋 伸佳 准教授
Kawashima Nobuyoshi

研究分野 社会心理学

出身地/大阪
家族構成/妻と子
尊敬する人/大学での恩師、大学院での恩師
愛読書/新書をよく読みます
趣味/喫茶店でぼんやり過ごす
休日の過ごし方/子と出かける
好きな食べ物/カレー、グレープフルーツ
好きな国/日本

人間科学部 人間科学科 川嶋 伸佳 准教授

大学で学ぶ醍醐味だいごみは、
「自分の常識=他人の常識ではない」と認識することです。

「ミクロとマクロ」2つの視点から、社会問題に対する心理的メカニズムを探る

私が専門としている社会心理学は、社会の中のさまざま現象に対する「人の心の働き」を研究する学問分野です。現在は、格差や不平等に関する人々の意識と、それが維持される心理的メカニズムを、実験や調査によって明らかにしようと試みています。

近年、所得や学歴、雇用形態などの格差が、社会問題としてメディア等に取り上げられています。格差については、多くの人が不公正・不公平だと認知していることが調査によってわかっていますが、依然として格差は維持、または拡大しているという見方もあります。端的に言えば、“格差があるのは良くないこと”と思っている人が多数いるのに是正されていないわけです。社会心理学の観点からその理由を探っていくと、“格差があるのは良くないけれど、自分自身は公正・公平に扱われているので、自ら行動を起こして解決しようとは思わない”という、人々の心理的メカニズムが見えてきました。つまり、社会的(マクロ)な判断と個人的(ミクロ)な判断には違いがあり、それが格差の維持または拡大に関係しているのではないかと考えています。

社会にはこの他にもさまざまな問題がありますが、皆がすべてに当事者意識を持つことは難しいようです。私はマクロとミクロの両方から捉えることにより、社会問題に対する人の心の働きを解明しようとしています。

身近で具体的な話題で理解を促すようにしています

主な担当講義は共通教養科目の「社会心理学(T・U)」、専門科目の「現代社会心理学」です。前者は、自己意識や対人コミュニケーション、リーダーシップといった、個人から集団、さらに社会まで幅広い事柄を題材に、最近の研究結果を交え社会心理学の代表的な知見を紹介します。後者は、社会学や法学などの考え方や知見も踏まえ、文化、社会意識、格差、メディア、法と心理といったテーマから、具体的な社会問題の解明を試みます。いずれも日常の場面で役立つ、できるだけ身近で具体的な話題を多数取り上げて講義するよう心がけています。

専門ゼミは、私の専門である社会心理学に関連するテーマを各自が定め、卒業論文を書き上げることが最終目標です。2年次では、実習を交えながら研究の手法や分析法などを学び、3年次からは個々にテーマを決め、自ら計画した実験や調査によって得られる具体的データに基づいた研究を行ってもらいます。

思い込みにとらわれない柔軟な思考が視野を広げる

社会心理学に限らず、大学で学ぶ醍醐味は、「世の中には多様な人がいて多様な考え方がある」と知ることだと思います。一見当たり前のことですが、社会で起こる問題の多くは、この理解不足が原因ではないでしょうか。私も以前は(今もですが)頭が固く、「自分にとっての常識は他者にとっても常識だ」と思い込んでいました。大学や大学院で研究を進める中でいろいろな人と交流し、社会心理学以外の学問にも触れたことで、自分がいかに狭い常識の中で生きていたかに気づき、視野を広げることができました。

学生の皆さんにも、思い込みにとらわれない考え方ができるようになってほしいです。このような思考は、学問だけではなく、仕事や人間関係で生じる問題を乗り越えたり、新しいアイデアを生むために役立つはずです。自分の常識や思い込みを知る方法は、日常生活の中にもあります。大学でさまざまな年齢、趣味、性格、信念、文化、言語を持つ人たちと積極的に接してみてください。もしその過程で違和感を抱くなら、多くの場合、皆さんの常識と他者の常識が異なるからです。その違和感について考えてみることで、自分の常識や思い込みを深く知ることができるでしょう。とはいえ、私もいまだに自分の中の常識と格闘しています。学生の皆さんと共に、柔らかな頭を手に入れる修業を続けていければと思っています。

「社会と向き合う心理学」(新曜社)、「紛争・暴力・公正の心理学」(北大路書房)、「不平等生成メカニズムの解明〜格差・階層・公正」(ミネルヴァ書房)
大変お世話になった(今もお世話になっている)先生方が編集・執筆等に携わられた書籍、「社会と向き合う心理学」(新曜社)、「紛争・暴力・公正の心理学」(北大路書房)、「不平等生成メカニズムの解明〜格差・階層・公正」(ミネルヴァ書房)です。いずれも一部執筆しています

参加者に配布されたバッグ
2016年にICP(国際心理学会)横浜大会に参加しました。これはその際、参加者に配布されたバッグ。使いやすいので愛用しています