人間科学部 人間科学科
澤田 敏志 教授
Sawada Satoshi

研究分野 生徒指導、特別活動

生年/1948年
血液型/O型
出身地/福島県「会津」
家族構成/妻
趣味/庭木の手入れと読書
子供の頃の夢/熱帯植物園の職員か新聞記者
尊敬する人/両親、教師としては、金子保雄先生と高橋尚先生
愛読書/『Coralway』(JTAの機内誌)
休日の過ごし方/庭の手入れと読書
好きな映画/「男はつらいよ(DVD)」
好きな音楽/1960〜70年代のフォークソング
好きなTV番組/「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK)、「遠くへ行きたい」(日テレ)
好きな著名人/王貞治、童門冬二
好きな食べ物/日本そば
好きな国/日本

人間科学部 人間科学科 澤田 敏志 教授

3歳児と30分間楽しく遊べる人には、
教員になる素質があります。

教育は施設や制度ではなく、人と人が接することが原点

私は神奈川大学を卒業してから17年間、公立中学校の教員を務め、その後、神奈川大学附属中・高等学校へ移り、昨年までは校長をしていました。その間、神大の教職課程で講師をしていました。教育の現場で42年間過ごしてきて思うのは「教員という職業は、大学や大学院で知識や技術を学んだことで完成するものではない」ということです。学校の現場で実際に生徒や保護者と向き合い、自己啓発を重ねていくなかで教員として成熟できるのではないでしょうか。だからこそ、その現場で信頼できる仲間や、師と仰ぐことができる先輩の存在が重要です。本来、教育というのは制度やモノではなくて、人が人と接することから始まるものだと思っています。尊敬できる人に出会い、その人から学ぼうと思うこと、そこに教育があるのです。明治以降、学校制度ができたことで、先生も制度のなかで作られるモノになってしまいましたが、本来はそうではなく、現場のなかでさまざまな人とふれあい、いろいろな体験を経て成熟していくもののはずです。

ただし、教室で教員として教壇に立つというのは一種のエンタテインメントであり、そこでは生徒に対して教員を演じなければいけません。女性が人前に出るときにはお化粧をするように、教員も生徒の前に立つときには演技をしなければいけませんし、そこできちんと演じきれる優秀な役者にならなければいけません。

私が思う目指すべき教員の姿というのは、子どもが将来に思い描いている夢に寄り添ってサポートできる教員です。それは「子どもの幸福を価値基準に置いて物事を判断できるかどうか」ということ。それは私自身がずっと大切にしてきたことであり、最終的に教員にとって一番重要なことだと思っています。

教員と生徒の関係にも「雑談」は大切

私は教員を目指す学生たちに、よく「3歳児と30分間、楽しく遊ぶことができたら教員になれるよ」と言うんです。3歳前後というのは子どもが一番わがままで自由奔放な時期。そのわがままな子どもに面白さを見つけたり、彼らと同じ目線で物事を見ることができれば30分なんてあっという間に過ぎてしまうはずです。反対にそれが辛かったり嫌になったら、教員になるのは辞めた方がいい。子どもの目線で物事を見つめられるかどうかというのは、先ほど述べた「子どもの幸福を判断の基準にできるかどうか」と同じことだと思っています。それは教員にとって、大事な資質のひとつなのです。

教員というのは、実際には教え導くなんて偉そうな仕事ではないと思っています。

たとえば相談ごとがあるといって自分から教員のもとに訪ねてくる生徒は、たいてい自分のなかに答えを持っているのです。迷っているのではなく、ただその答えを肯定してほしいのです。本当に迷っている生徒は、何に悩んでいるかさえ自分ではわからなくなってしまっていて、相談にくることもできない場合が多いのです。だから大切なのは生徒のことをよく見て、話を聞いてあげること。そして「それはこういうことじゃないの?」と整理してあげること。それが生徒を支えるという仕事なのです。先生というのは職業柄しゃべるのが好きなんですけど、本当は話を聞いてあげることも重要なんですよ(笑)。そして相手が誰であっても、コミュニケーションを取ろうとするときに総論的な話をしていても面白くないですよね。そこでいわゆる“雑談”が大切。教員と生徒の間でも雑談をすることって、実はとても大事なことなのです。

教員にも「企画力」は必要

私が担当している「特別活動」の授業では、自立と共生を図ることができる「企画力」を養う工夫を試みたいと思っています。たとえば、授業で北海道について教えるときには、本当なら実際に北海道へ行って学ぶのが一番いいと思うのですが、もちろんそんなことはできないので、いかに「教室に北海道を持ち込むか」というのが教員の知恵であり、そうした授業を構成するのが企画力だと思うのです。北海道を伝える画像でもいいし、統計資料でもいいのですが、伝えるための工夫が必要です。「子どもたちにふわっとした周辺的な興味をたくさん持たせて、それを学問的な興味に変質させていく努力」と考えています。言い換えれば、子どもたちを学びの世界に誘うための力なのです。子どもたちを新しい事実に向き合わせ、そこから新しい知識や興味を得られるようにしてあげること。教員にはそういった企画力が必要なのです。これから教員を志す人たちには、ぜひ生徒の「自立」・「自律」・「共生」を目指す特別活動論を学んでほしいと思っています。

昭和33年から刊行された『少年少女世界文学全集』(講談社)
昭和33年から刊行された『少年少女世界文学全集』(講談社)。母が「漫画よりもこちらを読め」とシリーズ全巻を揃えてくれました。自分にとっては読書の原点。今も実家に全て置いてあり、93歳になる母親も、ときどき「小公女」などを取り出して読んでいるようです

『虎落笛』(金子保雄/翔文社)は、横浜市で教員をしていたときの校長であり、私にとっての師匠とも言うべき金子先生の著書
『虎落笛』(金子保雄/翔文社)は、横浜市で教員をしていたときの校長であり、私にとっての師匠とも言うべき金子先生の著書。「虎落笛」は「もがりぶえ」と読み、雪国では雪よけの竹垣を抜けてくる風の音をそう呼ぶそうです。その他、『中学校経営に活力を』(21世紀の横浜の教育を考える会)は、その金子先生と一緒に行っていた勉強会の内容をまとめたもの。金子先生とはとにかくよく話し、よく飲みました