人間科学部 人間科学科
杉山 崇 教授
Sugiyama Takashi

研究分野 臨床心理学、臨床社会心理学、臨床パーソナリティ心理学

生年/1970 年
出身地/山口県
趣味/心理学、子育て、フットサル
子供の頃の夢/心豊かな人生
尊敬する人/両親、祖父母
休日の過ごし方/家族と外出を楽しみ、友人とフットサルを楽しむ休日が理想です
好きな著名人/ジョニー・デップ
好きな国/日本

人間科学部 人間科学科 杉山 崇 教授

“不全感”は誰もが持っている感情。
それも自分の感性として大切にしてください。

視点を変えると鬱病も人生の「メリット」になる

人間は人間関係の中で自分を見いだし、傷つき、癒される、ということを科学的に研究し、その研究成果を応用した心理療法を開発することが私の研究テーマです。それぞれの個性(パーソナリティ)や、置かれている状況によって効果のある心理療法は違うので、少しでもより良い方法はないかと研究開発を重ねています。

風邪などの体の病気と同じで、実は心の問題も早めに予防をすることで大半は防げます。若い人たちの中には、自分は社会に適応できていないんじゃないか、とか、うまく生きられていないんじゃないか、という感覚を持っている人が多いようです。そういう人は、むしろその“不全感”を大切にしてください。この世の中で不全感を全く持たない人間は、いないと言ってもいいんです。実は大学生の9割は妄想観念を経験しているというデータがあります。妄想観念が無い人、あり得ないことを考えない人というのは10人に1人、ということ。同じように、自分はちゃんとやれているんだろうか、という感覚は誰もが持つものです。それも自分の感性として認め、大切にしてほしいと思います。

進化心理学という分野では、鬱病になると余計な競争をしなくて済み、競争をしなければ攻撃されることもないため、世の中を生き残りやすくなるという側面も指摘されています。視点を変えると、鬱病にさえそういう「メリット」があるんですよ。

自分の限界を自分で決めるにはまだ早すぎる

私は教員になる前は臨床心理士として医療、教育、福祉、産業系の現場でカウンセリングや心理療法の仕事をしていました。異常心理の世界と正面から向き合うのは最初は辛いこともありましたが、少しでも実感のある理解ができるように今でもトレーニングを重ねています。私の場合は、カウンセラーを始めた頃からフットサルをやり始めたんですが、体を使うと精神的な疲労も回復することに気付いてからは、ずいぶん楽になりました。気持ちのバランスを整えるためには、身体感覚を取り戻すことも大切なんです。

心理学は、自己理解とそれを通した他者理解。まさに人間関係を理解するということです。学生の皆さんには自分のやりたい心理学をやってほしい。心理学を楽しみながら、しっかりと身に付けてもらうことが生き甲斐です。さらにそうやって身に付けたことが将来の役に立てば、なお嬉しいですね。

若い時には何にでも挑戦して、幅広い経験と知識を身に付けてください。経験は自分の足りないところを補える財産です。自分の枠や限界を自分で決めるのはまだまだ早いですよ。ただ、心理学の場合、経験を積めば積むほど、人の心は分からないなぁ、という結論になるんですけどね(笑)。

『風土』(和辻哲郎/岩波書店)、『世界の名著―マリノフスキー/レヴィ=ストロース』(中央公論新社)
『風土』(和辻哲郎/岩波書店)、『世界の名著―マリノフスキー/レヴィ=ストロース』(中央公論新社)。亡くなった祖父の本棚からもらった形見。学生時代に人類学を学んでいたので選んだ二冊

初めて長男を抱き上げたときの写真
初めて長男を抱き上げた時の写真。生後一日の息子のあまりの小ささに感動し、同時に「こいつを食わせていかなければ!」というプレッシャーも感じた。父親として生まれ変わった瞬間