人間科学部 人間科学科
笠間 千浪 教授
Kasama Chinami

研究分野 社会学

出身地/神奈川県
趣味?/温泉に入ること
子供の頃の夢/未知の植物を探す探検家になること
尊敬する人/他人を思いやることが常にできる人
愛読書/M.フーコーの著作
好きな映画/「かもめ食堂」(日本社会からはみ出した女性たちの物語。主人公の女性キャラクターはやや説教臭いが、脇役の女性たちが面白い)
「黙秘:ドロレス・クレイボーン」(ハリウッド映画だが、テーマが重い。母と娘そして階級を超えた女性同士のきずなを描いた物語)
好きな音楽/J.S.バッハ、沖縄の音楽
好きな食べ物/ナンで食べるインド・カレー

人間科学部 人間科学科 笠間 千浪 教授

ジェンダーの問題は誰もが当事者、
難しいけれど柔軟な思考で取り組んでほしい。

「男らしさの不自由」もジェンダーの問題

私は「ジェンダー研究」という授業を担当していますが、ジェンダーという言葉は「性差別をなくそう」というスローガン的に使われることが多く、女性だけが当事者のように思われがちです。しかし男性は性別では差別されませんが、「男らしさの不自由」という問題は存在します。例えば仕事が上手くいかず、家族を養えなくなったりした時に、「男はかくあるべき」というプライドや面子が捨てられず、ぷつんと糸が切れてしまう。日本の自殺者のほとんどが男性だということを考えれば、そこにジェンダーの問題が無関係であるはずがありません。男性の人生においても「男らしさ」という枷(かせ)が抑圧的に働いているのです。ですからジェンダーの問題は誰もが当事者。「女性に対する性差別」と同時に「男らしさの不自由」も解消していくことがジェンダー研究の目的です。

現在の「女性のありかた」「男性のありかた」(これらをひっくるめて全体的にジェンダー秩序という)は、近現代に成立したものです。それについて考察するには近現代社会の三つの軸(資本主義、国民国家、近代知)からの検討が必要です。こうした歴史的経緯を学ぶことで、ジェンダー問題の根深さ、難しさが分かってくると思います。また、ジェンダーの視点から社会を問うことは、「人種」や「民族」の視点と同様に、マイノリティと権力の関係について着目することでもあります。さまざまな誤解や「社会的神話」に満ち溢れている「性別」に関する主題なので、柔軟な思考態度でのぞんでもらいたいと思います。

思考停止せず、社会現象を批判的に再検討できる視点を

「社会学」という言葉には、初心者にとって誤解を招きやすいイメージがあります。それは情報番組でしばしば使われる「OOの社会学」というタイトルのように、単にあることについての情報や知識を提供するというイメージです。私の授業では、まずこのイメージを壊すことを心掛けています。学び始めたばかりの学生にとっては、もちろん専門の概念や用語を学ぶことも大切ですが、本来、社会学とは、それらの知見を用いてどれだけ「応用」ができるか、それが求められる学問だからです。

学生の皆さんには、さまざまな物事に関して「批判的」な再検討ができるような視点を培ってほしいと思います。最近は、「DNA」や「脳」などの、一見すると「科学的」にみえて意味のない説明用語が氾濫していますが、そうした用語で「思考停止状態」になってしまうことが一番怖いのです。あらゆる社会現象は、そういった単純な用語に還元して説明できるほど単純ではないのですから。

物事を「批判的」に再検討するというのは、とても難しいことです。それは単に感情的な好き嫌いを表明することではないからです。納得のいく「批判的」検討をするためには、多くの先行研究を学ぶ必要があります。ぜひ、多くの本を自分で考えながら読みこなしていってください。

愛読書のミシェル・フーコーの著書
愛読書のミシェル・フーコーの著書。彼の権力論は、日常的な権力と関わるジェンダー研究にとても関連性がある。フーコー自身が「自分の分析は道具箱として使ってほしい」と述べているとおり、インスパイアされる「玉手箱」として活用している

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昨年、サンフランシスコで開催された女性中心のメディア・ファンドムで入手した25年前のアメリカの同人誌