人間科学部 人間科学科
大後 栄治 教授
Daigo Eiji

研究分野 スポーツ生理学、コーチ学

生年/1964年
血液型/AB型
家族構成/妻、息子、娘
好きな映画/「ライフ・イズ・ビューティフル」、「フィールド・オブ・ドリームス」、「ショーシャンクの空に」
好きな音楽/小田和正
好きな食べ物/コーンスープ、日本酒
好きな国/日本、ハワイ島
出身地/神奈川県
趣味/ゴルフ
子供の頃の夢/野球選手
尊敬する人/向上心を持っている人
愛読書/東野圭吾の作品全て

人間科学部 人間科学科 大後栄治教授

駅伝の監督としても、大学の教員としても
大切なのはコミュニケーション・スキル。

スポーツが社会に与える影響は大きい

私が担当している講義は「ロールモデル論」と「コーチング論」の二つです。「ロールモデル」というのは「見習うべきお手本」といった意味で、「ああいう人になりたい」とか「あの人のこういうところを見習いたい」という憧れの対象のこと。欧米ではスポーツ選手がそうしたロールモデルになることが多いのですが、それは彼らがプレイ以外の部分でも、いろいろな社会貢献をしているからです。そのためスポーツ自体のステイタスも高くなりつつある。ところが日本ではまだまだ選手自身に、自分やチームが強ければいいや、という認識が強い。しかしチームでも個人でも、強くなれば社会に対する影響力が出てくるんですよ。その時に「自分は好きでやってるだけですから」では済みません。単なる趣味ではなく、ある程度、上を目指してスポーツをやっていく人は、より社会性というものを意識しなければならない。

そこで授業では、スポーツの社会的構造や役割から、倫理的・哲学的な問題まで大きく網羅して、スポーツ選手としてのロールモデルはどういうポジションで、どういう役割で、どういう考え方でやっていかなければいけないのかということを講義しています。スポーツの歴史や人種差別の問題など、社会現象をスポーツで解き明かしていくという面もありますから、スポーツをやっていない、例えば心理学や社会学を勉強している人にとっても面白い内容だと思いますよ。

コーチの語源は四輪馬車(coach)

もう一つの「コーチング論」は、単にスポーツの技術を教えるだけのコーチではなく、どの分野でも共通して使える「コーチ学」について教えています。最近は「ビジネスコーチ」という言葉もよく聞きますが、コーチングというのは、言わば「相手のやる気を引き出すためのスキル」。一瞬で、スーッと相手に入っていくワンフレーズを、どういうタイミングで、どういうシチュエーションで、どう伝えるかということを追求していく学問と言えるでしょう。

コーチという言葉の語源は「四輪馬車」のことで、本来の意味は「目的を持つ人を運ぶ」ということなんです。お客さんを目的地までお連れする。もちろん行き先はお客さんが決める。ですから、まず選手がどこを目指しているのかを聞いて、そこまで彼らを連れていくのが、本当の意味でのコーチの役割なんです。

例えばボールを一つ使ってキャッチボールをすると、スムーズにボールのやりとりが続きます。ところがボール二つにすると、どちらか一つは受けきれないので落ちて転がってしまう。言葉のキャッチボールもそれと同じで、同時に二つの要求を投げてしまうと、一つは無視されてしまうんです。また、相手が取りやすいようにフワっと投げるか、ど真ん中に思いきりドンと投げるか、ワンバウンドで投げるか。それによって相手の受け方も大きく違います。相手によって、あるいは場面によって、どういう風に言葉を投げかければ、どういう風に受け取ってもらえるのか。そういうスキルを身に付けるのがコーチングで、それはある種、人とのコミュニケーション・スキルでもあるのです。

名コーチ=優秀な演出家

私は大学の教員としての仕事と、陸上競技部の監督という仕事を併行してやっているのですが、研究テーマとしているのは、当たり前に行われている普段の練習をデータ化して、その影響を明確にするということです。人間って、当たり前のことを反復するのが一番難しいんですよ。でも、それをしないと新しい課題も見えてこない。やるべきことをやって初めて、これだけやってもここがダメということはどうすれば良いのかと改善点を考えられるんです。ですから基礎的な練習を根気よく一定期間続けることは本当に大切。その当たり前のことに説得力を持たせるために、データ化して実際にどういう影響があるのかを明確にする。練習の目的と成果が明確になることは、選手のモチベーションを高めることにもつながります。

ただし、そのデータをいかに有効活用するのかは、コーチングの手法にかかっているわけですね。一つのデータを、選手に自信を持たせるために使うのか、それともちょっと天狗になってる鼻をへし折るために使うのか。その使い方はコーチ次第。だからコーチ=演出家だと私は思っているんです。

箱根駅伝の「たすき」
92年に18年ぶりの出場を果たして以来、毎年、出場してきた箱根駅伝の「たすき」。今年は3年計画で進めている駅伝強化の1年目。まずは先につながるレースができれば!そして3年目で優勝候補にのしあがるのが目標

毎年1冊ずつ書き綴ってきた「コーチングダイアリー」
毎年1冊ずつ書き綴ってきた「コーチングダイアリー」。陸上部の選手たちの練習内容と先生自身の迷いや決断などが毎日欠かさず書き留められた、読みごたえのあるノンフィクションとも言える。中身は全て手書き。手書きじゃないと、必要な時に必要な情報が引っぱり出せない