外国語学部 英語英文学科
栗田 梨津子 助教
Kurita Ritsuko

研究分野 文化人類学・民俗学、オーストラリア研究

出身地/山口県
血液型/A型
家族構成/夫とハムスター
子供の頃の夢/国連ボランティア、同時通訳
尊敬する人/お世話になったアボリジニの長老(どんな逆境の中でも自分の信念を貫き、前向きに生きた人でした)
愛読書/ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」
趣味/自然散策、アロマテラピー、動物と触れ合うこと
休日の過ごし方/ホットヨガ、カフェでまったり読書、美術館巡り
好きな映画/「善き人のためのソナタ」
好きな音楽/洋楽
好きな食べ物/オーストラリアのラムチョップ

外国語学部 英語英文学科 栗田 梨津子 助教

快適空間から抜け出して、自分の常識が通用しない世界に身を置くと
新しいものの見方や考え方が身につきます。

人種や民族が異なる人々は、どうすれば平和に共存できるのか?

私は、オーストラリアの多文化社会とマイノリティ集団をめぐる諸問題について研究しています。「多文化社会」とは、異なる文化を持つさまざまな人種や民族などの集団が互いを尊重し、平等に共存していく社会のことです。オーストラリアにはアボリジニ(先住民)の人々が暮らしていますが、全人口に占める割合はマイノリティ(人種的少数派)で、多文化社会と言っても実際にはマジョリティ(多数派)である白人に合わせた文化やアイデンティティをもつことを強要されてきました。都市では白人教育を受けた「混血」の先住民が、状況や目的に応じてアイデンティティを使い分けて生活しており、西洋社会に身をおきながらも、アボリジニ独自の文化や価値観を維持しようと模索する人々もいます。こうした都市先住民が抱えるアイデンティティの問題を研究テーマとしています。

もう一つ、多文化主義が後退し、コミュニティの分断が叫ばれる現在のオーストラリアにおいて、いかにして集団間の相互交流や対話を促進し、多様な集団が平和に共存できる社会が形成できるかについても研究しています。具体的には、オーストラリア社会で「ブラック」として分類された先住民とアフリカ難民の集団間関係に着目し、そこで生まれつつある新たな市民意識の内実を明らかにしようとしています。

子どもの頃の私の夢はボランティアで国連の仕事に携わることでしたが、研究を通じても社会貢献ができるのではないかと思い、この道を選びました。研究の楽しさはオリジナリティを出せるところ。自分独自の視点で解き明かしたことを社会に活かしたいというスタンスで研究に取り組んでいます。

寄り道や回り道も、長い目で見れば人生をより豊かにする時間

オーストラリアの大学に交換留学したことがきっかけで、このテーマにめぐり合いました。当時のクラスにはアジア系の学生は私一人で、自分自身がマイノリティであることを身をもって体験し、マイノリティやアボリジニの世界観に関心を持ちました。研究の道に進んでからは、文化人類学のフィールドワークという手法を用いて、アボリジニの世界に飛び込み、家族と1年間ともに生活してその後も関係性を築きつつ理解を深めていきました。

この留学とフィールドワークの経験が、私のものごとの見方、価値観、そしてその後の人生までも大きく変えるきっかけとなりました。この経験を通して、自分がそれまでいかに偏狭で自文化中心的な視点で現地の人々を見ていたのかということ、文化の異なる他者と関係を築くときは双方の歩み寄りが必要であることに気づいたのです。

皆さんもぜひ、自分の快適空間から抜け出して、異文化の世界に飛び込んでみてください。異文化とは外国の文化とは限らず、国内でもよいのです。自分の常識が通用しない世界に身を置くことで、自分自身の姿を、角度を変えて見つめ直すことができ、新しいものの見方や考え方を身につけることができます。

また、寄り道や回り道は決して悪いことではありません。目標達成のために最短距離を選ぶのは、最も効率的なやり方ですし、その道を選ぶ人も多いかもしれません。けれども遠回りをすることで見えてくることもあります。私は修士課程を修了した後、3年ほど特許事務所で翻訳の仕事をした後に、博士課程に進ました。研究から離れてしまうと、ブランクだと思われがちですが、就職したことでプロ意識を持って仕事に向き合う姿勢などを学ぶことができ、それが今に活かされています。さまざまな経験は、私たちの人生をより豊かなものにしてくれるのです。


フィールドワークで1年間一緒に生活したアボリジニの家族の写真。バスケットはアボリジニの友人からもらったもので、伝統的な技法で作られています


高校生の頃から愛用している英語の文法書。年季が入っていますが、使い慣れていてどこに何が書いてあるかすぐにわかるので、今でもお世話になっています