外国語学部 英語英文学科
石黒 敏明 教授
Ishiguro Toshiaki

研究分野 第二言語としての英語習得メカニズムの解明、スポーツ実況放送に見られる文法的・語彙の特徴

出身地/山形県
生年/1948年
血液型/O型
趣味/野球、ソフトボール(見るだけでなくクラブチームに入り、週末は体の許す限りやってます)
子供の頃の夢/オーケストラで演奏すること
尊敬する人/野口英世
愛読書/遠藤周作『私のイエス』
休日の過ごし方/ソフトボールかビデオ
好きな音楽/ジャズ
好きなTV番組/ニュース番組
好きな食べ物/スパゲティ

外国語学部 英語英文学科 石黒敏明教授

自分の興味のある分野を見つけ出し、
そこに絡めて英語を学ぶのが上達の秘訣。

伝えるための工夫が英語力を伸ばす

英語が早く上達したいならネイティブのガールフレンドかボーイフレンドを見つけなさい。これは冗談でよく言われることですが、実際に英語を習得するためには「インタラクション(Interaction)」、すなわち「人とのやりとり」がとても重要です。例えばネイティブの知人と会話をしている時、歌手の松山千春さんが患った「狭心症」を英語で何と言うのか分からないとします。そこで相手に伝えるためには、簡単な言葉に言い換えてみたり、直訳してみたり、とにかく「狭心症」という現象をなんとか英語で説明しようと工夫しますよね。これらの試みを専門用語では、コミュニケーション方略と呼びます。いろいろ言っているうちに相手に理解してもらい、さらに「狭心症=angina pectoris」という言葉を教えてもらえるかもしれません。このように先生でも恋人でも、共同作業をする相手がいると一人で勉強しているときよりも上達の伸びしろが大きくなる。これは心理学者が提唱していることで、その伸びしろは「最近接発達領域」と呼ばれています。

英語を習い始める年齢、学習者の適性や性格や情緒面、さらに日常生活の中でインプットされる英語の量など、第二言語としての英語習得に影響を及ぼす要因はいくつもあります。この「インタラクション」も言語習得に大きな影響を与える要因の一つ。そして私はこれこそが英語上達の秘訣だと思っています。

体験したことをすべて英語で表現してみる

他にも私が学生に奨励しているのは、自分が体験することは全て英語で表現してみる、ということ。例えば授業中にあくびをする人がいたら「あくび」を英語で言ってみなさい、と。くしゃみをしたら「くしゃみ」、せきをしたら「せき」という言葉を、それぞれ英語で言ってみる。こういう言葉は英語圏で日常生活を送っていれば自然と身に付きますが、学校の授業ではなかなか出てきません。だったら現地で過ごすような環境を、日本にいても自分でつくればいいんです。今日やったことや見たこと、感じたことをすべて英語で表現してみる。当然、分からない表現がたくさん出てきますから、そこで相手がいれば「インタラクション」ですし、相手がいなければ「独り言」でいいんです。そして分からない言葉は辞書を引きましょう。その際には、目的の単語だけでなく、その発音、特にどこにアクセントがあるか、また反意語、同義語、派生語など関連する言葉を覚えていく。そして最後に、例文です。単語をただ覚えてもそれだけでは会話はできませんから、辞書を引くならセンテンスのレベルまで目を通して、文章の中での単語の使い方を覚えましょう。相手がいればインタラクション。一人なら独り言と辞書。これを実践していれば、絶対に英語は身に付くはずです。もちろん、続ければ、の話ですが(笑)。ただ、一言付け加えると、一度挫折しても何度でも再出発できることです。「諦めない」という信念が大切だと思います。

好きなことを英語と絡めるのが秘訣

もう一つ、私が興味を持って研究しているのは「言語使用域(レジスター)」について。例えば赤ちゃんに対する話し方と、まったく日本語が分からない外国人に対する話し方、また高等学校で校長先生に対する話し方とは、まったく別物になるように、人は状況に応じて適切な言語使用、すなわち一つのレジスターを使っています。今年最初にまとめた論文で扱ったのは「野球トーク」。ラジオでの野球中継にはどのようなパターンの文法や語彙が見られるかということを調べた論文ですが、結論から言うと「文法は簡素化され、語彙は豊富になる」。選手紹介などの描写の際BE動詞などは省略化され、反対に「投げる」「打つ」といった動作を表す言葉は、実況放送が退屈にならないよういくつもの言い換えがされるのです。また「ホームラン」を「downtowner(場外のダウンタウンまで届くという意味)」、「高めにはずす」を「upstairs(二階)」など、大げさな表現も目立ちます。同じプレイを日本語と英語とでそれぞれ表現する際の比喩の違いなども文化や伝統の違いを反映していて面白いものです。

私は元々スポーツが好きだったので、こうした研究はまったく苦になりません。そう、英語を学ぶときには、自分の好きなことと絡めるのが長続きするコツなのです。皆さんも自分の興味のある分野を探し、それに関連した形で英語を学んでみてください。

著書『米国留学紀行』(リトル・ガリヴァー社)
過去4回の留学経験をまとめた著書『米国留学紀行』(リトル・ガリヴァー社)。大学での研究についてだけでなく、日常生活や自然環境、スポーツなど幅広い視点で当時の体験を綴ってある

サインボール
ハンク・アーロン、野茂英雄、長谷川滋のサインボール。青い紙に書かれたサインは、1993年にハワイのウィンター・リーグ(日米の2軍混成チームによる試合)でプレイしていた鈴木一郎のもの。イチローと改名し、首位打者になる前年の初々しいサイン。背番号を#5と書いたのは、1軍に上がりたいという彼の意志表明だったのではないかと想像している