外国語学部 国際文化交流学科
深澤 徹 教授
Fukazawa Toru

研究分野 転換期(院政期)の文化・慈円・愚管抄・自己言及・御成敗式目・言逐行的機能

生年/1953年(満州開拓団の引揚者の子として生まれる)
血液型/A型
出身地/神奈川県相模原市(神奈川県立大和高校卒業)
家族構成/妻(1歳年上の姉さん女房)・息子A(大学3年)・息子B(中学3年)
趣味/登山・サイクリング(最近は身体がなまって、ほとんど行ってないですけどね)
子供の頃の夢/考古学者になること、自然をあつかった映画の製作者になること
尊敬する人/福沢諭吉と丸山眞男、それと荻生徂徠
愛読書/主に哲学関係の本
休日の過ごし方/洗濯と掃除、静かな喫茶店で読書、ジョギングか郊外に出てサイクリング
好きな映画/押井守のアニメ作品
好きな音楽/クラシック
好きなTV番組/主に教養番組しか見ないです
好きな著名人/生きている人ではいませんね
好きな食べ物/なんでも好き
好きな国/台湾

外国語学部 国際文化交流学科 深澤徹 教授

大学時代に重要なのは、自分を表現するための「言語能力」と、
自分の居場所作りともいえる「社会関係資本」の構築です。

平安時代の文学はゼロから生まれる過程が面白い

私が担当する共通科目の「文学」では、平安から鎌倉にかけての文学史を講じています。そのなかで基本となるのが、「かな文字」による文章表現の成立。平安時代の文学というのは、新たに生まれた「かな文字」の表現を作って行く段階であり、なにもないところから文章を創り出していく過程の面白さがあります。さらにそれが意味するのは、東アジア漢字文化圏からの日本の離脱・独立の過程でもあるという趣旨の内容です。

その他の「日本文化論」や「日本芸能論」といった授業では、「都市論」の観点から、決して一元的ではない日本の社会的価値の多様性を、具体的なテキスト(文学テキストや芸能史関係のテキスト)を通して見ていきます。貴族や武士だけが当時の社会を動かしていたのではない、その他雑多な職業の人たち(そのなかに芸能者もいます)の営みを見ていこうとするものです。芸能というのはある種の物真似であり、それをするためにはいろいろな職業のモデルになる人々が必要です。そうやってレパートリーが広がって行く。そういう面で多様な職種によって支えられる都市社会とも関係しているのです。

日記文学の根底にあるのは「居場所のなさ」

私が大好きな映画に「櫻の園」という女子校の演劇部を舞台にした作品があるのですが、ここではいわゆる女性同盟というか、男性を排除した世界での役割行動が描かれています。「日本の社会は、個々のアイデンティティよりも、役割行動によって回っている」というのが私の持論です。だから社会のなかに自分の「役割」がなくなってしまうと辛い。要するに「居場所がない」ということです。

もともと私が研究の世界に入ったきっかけは平安時代の日記文学でした。日記文学というのは基本的に「居場所のなさ」から生まれるものです。自分が居るべき場所からドロップアウトしてしまうから、自分はどこから来てどこへ行くのだろうという問いかけが生まれる。日記文学というのは、実は「私」への問いかけなのです。とはいえ、その「私」は一人ぽつんと存在しているわけではなく、周囲には「私」が生きている社会がある。ですから「私」への問いかけは、自分を取り囲む社会の成り立ちへの問いかけにも繋がって行くわけです。そして現在、私が研究テーマにしているのは、鎌倉初期に書かれた『愚管抄』という歴史書です。これが過去の歴史書と大きく異なるのは、慈円という天台宗の僧侶によって“一人称”で語られていることです。一人の人間が見た歴史を、自分の言葉で語っている。それは平安時代に始まった日記文学の延長線上にあるともいえるのです。

大学では「言語能力」と「社会関係資本」を身に付けよう

学生の皆さんは大学4年間でいろいろなことを学ぶと思いますが、なかでも肝要なのは「言語能力」の習得と「社会関係資本」の構築だと思います。どんな知識を身に付けたとしても、やはり原点は言葉です。文章を読めば人はわかります。頭のなかが整理されていないと文章も乱れますし、頭のなかが整理されていれば文章もきちんと書ける。ですから英語などの語学力もさることながら、なんといっても重要なのは、話し、聞き、読み、書くための母語(日本語)能力をしっかりと磨きあげることです。

いまひとつの「社会関係資本」とは、平たくいえばより良き人間関係です。社会のなかで自分の「役割」をいかに作っていくかということ。まさに「居場所作り」ですね。社会的な関係の網の目のなかにしっかりと自分を位置付ける努力が大切です。そして社会関係資本を築き上げるためにも、言語能力は欠かせません。「言語能力」と「社会関係資本」を共に身に付け、社会的に有為な一個の「人格」を作りあげる努力をしていってほしいと思います。

大好きな映画「櫻の園」(中原俊監督)のVHSテープ
尊敬する丸山眞男の『忠誠と反逆』は私のバイブル。
大好きな映画「櫻の園」(中原俊監督)のVHSテープ。100回以上は繰り返して見ているのですりきれてしまった。日本文化を語る際の資料としても優れているが、実際には、疲れたときなどにぼんやりとビールを飲みながら見るのが心地よい

研究室に飾ってある、台湾の土地神様の指人形
研究室に飾ってある、台湾の土地神様の指人形。台湾ではその土地の繁栄や安寧を司る土地神様を「土地公」と呼び、それを祀る廟が数多くある