外国語学部 国際文化交流学科
鳥越 輝昭 教授
Torigoe Teruaki

研究分野 比較文学、文化史

出身地/岡山県
趣味/音楽を聴くこと(イタリア・オペラ、ウィーン音楽、黒人ブルース、古いジャズ)、音楽の演奏(ギター:ほとんどブルースしか弾けない、ピアノ:レッスンを受け始めたばかりで幼稚園児水準)、古今亭志ん生の落語を聴くこと
子供の頃の夢/軍艦の艦長か戦闘機乗り
尊敬する人/人を許せる人、人を愛せる人、謙虚な人、劣った者や弱者を軽蔑しない人、片隅で黙々と仕事をしている人、飄然とした大人(たいじん)
休日の過ごし方/日曜日はカトリック教会のミサに出て、公園を散歩、妻と食事をした後、音楽をかけながら読書、楽器演奏
好きな映画/M・アントニオーニ「太陽はひとりぼっち」「情事」、B・ベルトルッチ「1900年」「暗殺の森」
好きな国/イタリア(異文化性が刺激的)、英国(居心地が良い)、オーストリア(享楽性と機能性が併存)

外国語学部 国際文化交流学科 鳥越輝昭教授

違っていることを面白いと言える人になることは、
国際人として活躍する上で大切なことです。

ヨーロッパの原点“イタリア”に魅せられて

私が担当している科目「フィールド演習」では、イタリアを扱っています。具体的には、日本に流入した身近なイタリア文化を対象に、私の体験談を交えた講義やグループ単位での研究調査を行っているのです。また、私が専門としている研究分野もヨーロッパ、特にイタリアに焦点をしぼってきました。

学生時代は、英語が得意で英文学を研究していました。ですから、私の研究の入口はイギリスだったのです。ところがイギリスの文化は、古代、中世、ルネサンスと、ずっとヨーロッパの中心部分との関係の中で築かれてきました。そうした流れから考えると、イギリスを正しく捉えるには、本家本元であるヨーロッパを捉えなければ何も分かりません。そこでイタリアに目を向けることとなったのです。現在のイタリアのイメージと言うと、食べ物やファッション、サッカーといったものが強いでしょう。そのため、ヨーロッパの中心という印象はないかも知れませんね。しかし、歴史を紐解くと、イタリアの都市ローマを中心にしていた古代ローマ帝国は、まさにヨーロッパの原点なのです。ヨーロッパを捉えようとした時、必然的にローマ帝国(イタリア)へと辿り着くことになる。そんな原点であるイタリアに魅せられて、私は研究を続けてきました。また、古代ローマ以来のイタリアを軸にしながらヨーロッパ文化の本質を知ることは、明治以降、対欧米関係の中で形成されてきた近現代の日本文化を知ることにもつながると考えています。

異文化体験は既成の価値観から自由になる契機

将来、国際的な舞台での活躍を目指す人や、創造的な仕事をしたいと思っている人には、ぜひ異質な文化体験をしてほしいと思います。また、歴史的なものの見方や、全体を見ることができる広い視野を身に付けることも重要です。なぜなら、現在の日本文化の中で培われた価値観や考え方に捕らわれていては、それを越える発想ができないからです。

異質な文化体験とは、全く異なる文化に触れることで、現在の日本文化の束縛から自由になってみることです。例えば、イタリアの列車は予定時刻どおりに発車しませんし、当然のように遅れて到着します。発車ベルもアナウンスもありません。日本人からすれば不便きわまりないことですが、その一方で、何でも自分で調べ、行動しなければならない状況が、自立と自己責任について考えるきっかけになります。また、数分程度の遅れで苛立ってしてしまう日本人の価値観とはどうなのかと、自己を省みるきっかけにもなります。

歴史的なものの見方を習得することは、自分が思い込んでいることへ疑問を投げかけることにつながります。例えば、神前結婚式。これは古式ゆかしいものに感じられますが、実は1900年から始まった新しい儀式です。おそらくキリスト教の結婚式に影響を受けたと考えられます。伝統的な風習だと思っていたものが、実は新しいものだったり、外国文化との関わりの中から生じていたりすることは少なくありません。それから、広い視野を持って物事を捉えるということは、物事を多面的に見ることにつながります。これは大学での学びにおいても、社会へ出てからも、一番役立つことの一つだと言えるでしょう。

このように全く違う文化に触れ、それを受け入れられるということは、社会人、国際人として必要な素養です。日本国内にも多様な異文化があります。そうした違いを排除しない人、違っているから面白いと言える人になることは、これからの国際社会の中で、とても大切なことです。

著書『ヴェネツィアの光と影』
近代ヨーロッパの人たちがイタリアの都市ヴェネツィアをどう見てきたかをまとめた著書『ヴェネツィアの光と影』(大修館書店)。装丁者がかけがえのない妻となってくれた思い出深い一冊

訳書『近現代ヨーロッパの思想』
体力と時間があった30代に手がけた訳書『近現代ヨーロッパの思想』(F・バウマー著、大修館書店)。17世紀から20世紀半ばまでのヨーロッパにおける思想全体を通覧した、私の関心の核心に関わる本