外国語学部 中国語学科
彭 国躍 教授
Peng Guoyue

研究分野 社会言語学、認知言語学、対照言語学

出身地/中国上海
趣味/消えた美術作品の図像収集(特に日本人画家が描いた中国風景)
子供の頃の夢/画家、表装職人
尊敬する人/史学者Howard Zinn(使命感、批判精神)、文学者大江健三郎(深い人間愛、ユーモア)、芸術家アイ・ウェイウェイ(勇気、作品のスケール)
愛読書/『老子』『孫子』『史記』
休日の過ごし方/ネット公開の世界中の大学講義視聴、気功瞑想

外国語学部 中国語学科 彭国躍教授

中国語は中国の社会や文化を理解する架け橋。
中国への理解が深まれば自然と会話も楽しくなるのです。

言葉と社会との関係を追って

私は、主に社会言語学をテーマに研究しています。簡単に言うと、言葉と社会との関係を研究するということになるでしょうか。例えば、言葉と人間関係を考察する敬語論がその一つです。中国語では“呼称”が、ある種の敬語機能を持っています。40歳を超えているような相手には「老」を付け、それより若い相手には「小」を付けて、相手の名前を呼びます。つまり「老」や「小」が敬語の機能を持っているのです。それから、日本語の「こんにちは」は、中国語では「?好(ニイハオ)」に当たりますが、日常において、実はそれを使う確率はとても低いのです。というのもお互いが知り合いの場合、相手の名前を呼ぶことが挨拶になるからです。「田中さん!」と声をかければ、それが中国では挨拶なのです。日本の場合、相手の名前を呼ぶと、その後に何か会話が続きますよね。このように挨拶一つとっても、そこには異なる文化があって、面白いのです。

また、命名論も社会言語学の一つです。子供や店、会社などに付ける名前が、日本社会の今の価値観や流行を反映するように、中国でも名前が鏡のように社会を映しています。名前を研究することで、今の社会を見るということも行っています。

会話以外の目的で学ぶことが中国語を上達させる

ゼミでは、中国語でコミュニケーションをとることを前提としています。互いの近況報告を中国語で話したり、中国の新聞のタイトルを読んだり、中国の小説や文学作品を読んで、その内容を議論することもあります。中国語学科は中国語会話だけを目的に学ぶところではなく、中国の社会や文化などを理解するために中国語会話を学ぶところです。中国への理解が深まれば、自然と会話も上達し、楽しくなるのだと思います。また、さまざまな話題について会話を繰り返すことは、自分が何に興味を持っているのかを知るきっかけにもなります。

そうして見つけた興味のあることを、4年生で卒業論文に書きます。私のゼミでは、社会言語学に限らず、好きなことを書いて良いことにしています。最近の中国映画について書いた学生もいれば、日中におけるペットの名前の付け方の違いや、車の名前を比較した学生もいました。好きなことに結び付けて研究するので、楽しくて仕方ないという様子の学生が少なくありません。積極的に取り組むことは、好きなことの発見につながり、また好きなことだからこそ積極的に取り組め、結果、勉強が面白くなるのだと思います。

大学で学ぶことは社会でも必要とされる力

卒業論文が将来、何の役に立つのだろうかと思う人もいることでしょう。実は、論文を書くという作業は、すべての作業につながっています。テーマを見つけて、調査し、まとめて、結論を導き出すというプロセスは、どんな仕事にも必要です。論文を書くことは、形の上では就職や仕事に通じていないようでも、その作業は社会人としてとても大切なのです。学生には、その点を意識してほしいですね。また、現在はコンピュータが発達し、情報をたくさん持てる時代になりました。その一方で、情報社会は大変、脆いです。コンピュータウイルスの侵入などトラブルが起きれば、一瞬にしてすべての情報を失ってしまいます。大学生は、提出物や卒業論文の制作でパソコンを頻繁に使います。ですから、個人的な危機管理意識をしっかり持つように心がけてください。それから、何事も早期に計画を立て、達成するために余裕を持って行動することを習慣づけてほしいです。これらも社会に出てから、必要とされる力ですからね。

『簡約 老子細読』と『タオ―ヒア・ナウ』
哲学的な『老子』を自然な形で解釈した『簡約 老子細読』深津胤房著(文芸社)と、漢文の壁を越え、より自由な日本語に訳した『タオ―ヒア・ナウ』加島祥造訳(PARCO出版)。特に後者は、とても分かりやすい訳なので、ぜひ読んでもらいたい

著書『近代中国語の敬語システム―「陰陽」文化認知モデル』(白帝社)
体系的には、ほとんど消えてしまった近代中国語の敬語システムを考察した著書『近代中国語の敬語システム―「陰陽」文化認知モデル』(白帝社)