工学部 総合工学プログラム
日比野 欣也 教授
Hibino Kinya

研究分野 粒子線天文学

生年/1963
出身地/愛知県
血液型/AB型
家族構成/妻、猫
趣味/フライフィッシング
子供の頃の夢/理科の先生
休日の過ごし方/妻と遊ぶ
好きな映画/「2001年宇宙の旅」
好きな音楽/Led Zeppelin, Steely Dan, FreeTEMPO

工学部 総合工学プログラム 日比野欣也 教授

ノイズのなかから、シグナルを見つける。
それは物理の実験でも、日常生活でも同じこと。

物理の手法は意外に応用範囲が広い!

担当講座の「情報機器活用」「プログラミング基礎」「情報処理演習T」では、1〜2年生を対象にしたコンピュータリテラシーを教えています。大学4年間の勉学に必要な情報および情報機器活用能力を身に付けるための演習科目です。コンピュータを含む情報機器の変化は激しく、利用法も多様化してきて、授業内容が古くならないように努めています。

また1〜2年生を対象にした「物理学実験T」では、基礎的な物理法則を実験しながら体験し、科学的な考え方を身に付けることを目的としています。身の回りにある様々な現象も単純化してみれば、種々の自然の法則から成り立っていることが分かり、それを知ってもらうことにも意味があります。

最近は高校に物理専門の先生がほとんどいないというくらい、物理を専攻する生徒は少なくなっているようです。皆さん、就職のことを考えているのかもしれませんが、実は東大で物理学を専攻して博士課程まで進んだ学生が、証券会社のアナリストになったりしているんですよ。そこで、いわゆる経済理論を分析するというような仕事をしている。物理を勉強することで身に付く分析力は意外と強みになるんです。

地球に降り注ぐ宇宙線から、宇宙の謎に迫る

私が研究テーマにしている「粒子線天文学」というのは、一般の人にはあまり馴染みがないかもしれません。光や電波ではなく、宇宙線を通して見る天文学です。宇宙線というのは、宇宙から降り注ぐ高エネルギーの粒子のことで、目には見えませんが常に地球上に降り注いでいます。その宇宙線を捉え、宇宙の観測を行い、宇宙(特に我々の銀河系)の様々な謎を解こうと試みています。

具体的には活動銀河中心核、超新星爆発やパルサーなどの高エネルギー天体から長い時間をかけて宇宙を旅して地球に降り注ぐガンマ線や荷電粒子を検出し、その現象を調べています。大気中に一本のガンマ線が入ってくると、それが大気と衝突してシャワーのように分裂して拡散します。そうやって散らばってくる粒子を地上に置いてある検出器で拾って、データを計測するわけです。

我々の研究チームは、1989年に中国チベット自治区の高地(4,300m)に宇宙線観測望遠鏡を建設してから、20年以上に渡って宇宙線観測を続けています。プロジェクトには建設当時から携わっているのですが、スタートした当時、チベットには通常、外国人は入れなかったので、いろいろと大変なこともありました。

最近では宇宙線が地球環境に及ぼす影響について興味が沸き、宇宙線と気象、特に雷との関連について研究を始めています。

膨大なノイズのなかから、微かなシグナルを見つけよう

我々が観測しているガンマ線はほんのわずかしか地球に届かないため、観測にあたっては無数のバックグラウンドノイズ(その他の宇宙線)のなかから、本物を見つけなければいけません。

これは日常生活でも同じではないでしょうか。何事も上辺の部分にはノイズが多いものです。たとえば会議の場で喋っていることと、裏でオフレコで喋ることは全然違ったりすることも多々ありますね(笑)。でも実際には、会議で喋っているときにも、皆、ちょっとぐらいは本音を言っているのです。沢山のノイズのなかから、微かな本音を読み取ること。そのためには、ただ漫然としていてはダメです。見つけようと思って見なければ、シグナルは見えてこないのです。

何事に関しても、膨大なバックグラウンドから微かなシグナルを見つけ、思いっきり想像を広げましょう。その無限の想像力を未来につなげる、そのために知識はあるのですから。

※日比野 欣也先生は〈工学部 数学教室・物理学教室・化学教室・生物学教室〉にも掲載しております。

物理学選書『宇宙線』(小田稔:著)
物理学選書『宇宙線』(小田稔:著)。初版が出版されたのは50年も前のことだが、私が大学院時代にも本著がテキストとして使われていた。これは希望者が多かったため近年、復刻されたもの

チベット高原(高度4,300m)に建設した超高エネルギー宇宙線観測装置
チベット高原(高度4,300m)に建設した超高エネルギー宇宙線観測装置。1989年以来、日中共同研究として観測が続けられている。300m四方の敷地内に整然と並んでいる白い箱のように見えるのが検出器。背後に見える雪を被った山々はニェンチェンタングラ山脈である