工学部 物質生命化学科
田邉 豊和 助教
Tanabe Toyokazu

研究分野 金属触媒、電子顕微鏡

生年/1980年
出身地/大分県
血液型/O型
子供の頃の夢/世界中を旅する。大学の先生
愛読書/伊坂幸太郎作品
趣味/今は息子と工作(昔はゾンビ映画鑑賞)
休日の過ごし方/家族で楽しく過ごす
好きな映画/「紅の豚」
好きな音楽/自然音(特に海の音)
好きなTV番組/スポーツ中継(サッカー、野球)
好きな食べ物/貝類(特に牡蠣)、ビール
好きな国/日本

工学部 物質生命化学科 田邉 豊和 助教

希少な金属に代わる安価な合金をつくる、
いわば現代の錬金術を研究しています。

レアメタルの代替となる合金を求めて

複数の異なる金属を混ぜ合わせて、元の金属にはない特性を引き出す、合金の研究をしています。特性というのは、たとえば自動車の排気ガスに含まれる有毒ガスを無毒化する触媒作用などのことで、そういう作用をもつ合金は、実際に自動車の排気装置に利用されたりしています。ところが、そうした環境浄化技術や省エネに用いられる触媒の多くは、白金(プラチナ)などのレアメタルと呼ばれる非常に高価な貴金属です。昨今、環境浄化技術や省エネ技術は著しく進歩していますが、その技術が進めば進むほど、レアメタルの使用量はどんどん増えています。そこで私はレアメタルの代わりになるものを、安価なニッケルの合金で実現できないかと研究しているのです。言うなれば、現代の錬金術の研究ですね。

それと並行して、金の合金に関する研究にも取り組んでいます。金という金属は、非常に面白い特性をもっています。一般に、金は財産として扱われますよね。その理由は、金が非常に安定した金属で、放っておいても海底に沈んでも錆びたり劣化したりしないからです。ただし、それはたとえば延べ棒のような大きなサイズのときに限ります。逆にどんどん小さくしてナノサイズにすると、不思議なことに触媒として機能しはじめるのです。では、なぜ大きいときは安定しているのに、小さくすると触媒として機能するのでしょう? 実はその理由は、まだわかっていません。その原理の解明をしようと、今、研究を進めているところです。

金属触媒の特性を調べるには、その内部組織がどのようになっているかを調べなければなりません。そのため、私は金属などの物質を目に見えないほどの薄さにスライスして、その組織を電子顕微鏡で観察するという研究手法で、金属の特性を評価しています。この研究手法は職人芸的なもので、他の人が簡単にできるものではないため、私自身の研究のアピールポイントになっています。

実験の面白さや本来の目的に気づいてほしい

学生の中には、高校時代にそれほど化学実験をしてこなかった人も少なくないため、物質生命化学科では、化学実験に慣れることを目的とした1・2年生向けの実験の授業が用意されています。私が担当している2年生対象の「物質生命化学実験」もそのひとつで、高校・大学の化学で学んだ内容や公式でしか知らなかったことが、実際に成立するかどうかを実験で確かめてみるということに取り組んでいます。この授業では、毎回、取り組む実験の目的やどんなところが面白いのか、何に注目しておくべきかといったことを、事前に明確に伝えるようにしています。というのも、2年生で扱う実験はそう難しいものではないため、学生は手順書に従って、作業的に実験を進めがちになるからです。本来、実験はわからないことを明らかにするという目的で行われるもので、決して「作業」ではありませんし、わからないことがわかるところが面白さでもあるわけです。そういうことに気づいてもらえるようにしたいと思っています。

また、実験が予想通りにならなかった場合、たいていの学生は失敗したと思い込んでしまいます。しかし実験に本当の意味での「失敗」はありません。結果には必ず原因があるからです。大切なことは、なぜそういう結果になったのかを考えること。それを考えてもらう時間を設けるようにして、4年生の卒業研究で取り組む本格的な実験への姿勢を身につけてもらえればと思っています。

自分の体験として語れるものを増やそう

最近、授業など人前で話すときに感じるのは、自分が体験して思ったことを話すときが一番、相手に伝わるということです。今は、ネットやテレビから簡単に情報が得られる時代になりました。そういうネット上にあるニュースを何気なく読んでいると、ついわかったような気になったり勝手なイメージをもってしまったりしますよね。けれどもそれは、自分の考えや言葉ではありません。そういう意味では、やはり自分の体験にもとづく言葉ほど、信頼が置け、説得力のあるものはないのだと思います。

大学時代は、体力と時間が十分にある貴重な時期です。その間に、したいことにはどんどん挑戦し、たくさんの経験を積んでください。そして、自分の体験から学んだこととして語れるものを増やしていってほしいと思います。

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