工学部 物質生命化学科
太田 佳宏 助教
Ohta Yoshihiro

研究分野 高分子化学、有機合成化学

生年/1983年
出身地/横浜
血液型/A型
子供の頃の夢/プロ野球選手
尊敬する人/これまでにお世話になってきた先生方や先輩方
趣味/野球、卓球、音楽鑑賞、寝ること
休日の過ごし方/掃除、洗濯、買い物、お弁当作り
好きな映画/「千と千尋の神隠し」
好きな音楽/ゆず
好きなTV番組/「モヤモヤさまぁ〜ず」
好きな食べ物/カレー、ハンバーグ、オムライス、チキンカツ、味噌汁、ケーキ
好きな国/日本

工学部 物質生命化学科 太田 佳宏 助教

有機化学は暗記ばかりではありません。
自分の頭で考えるから面白いのです。

実験では、操作の“意味”を考えることも大切

授業では、1年生の「物質生命化学実験基礎」と、3年生の「物質生命化学専修実験」、「有機化学演習」を担当しています。「物質生命化学実験基礎」は、アスピリンなどの合成実験に取り組むほか、化合物の抽出や洗浄、精製方法といった有機系の研究では必須となる基礎的な操作や考え方を学ぶという内容です。一方、3年生対象の「物質生命化学専修実験」は、1年生の時より難易度の高い合成実験を行うほか、測定機器などを用いて合成した化合物の構造解析にも取り組んでいきます。

どちらの実験の授業でも学生には「なぜ、その操作を行うのか」「その操作によって何が起きるのか」を考えてもらうように心がけています。実験の操作自体は、しっかりと覚えさえすれば作業的にできるようになりますが、その操作の“意味”をしっかりと考えて理解し、自分のものにできるかどうかは、研究室に所属して自分で研究をするようになってからの研究の進捗に大きく影響するからです。できるだけ早いうちに操作の“意味”を考える癖をつけてもらいたいと思っています。

同様に、化合物の命名法や合成法、反応に関する問題を解く「有機化学演習」でも、単に解答を示すだけではなく、どのように考えてその答えになるのかを学生に説明してもらう形で進めています。というのも、高校までの有機化学の勉強は暗記が中心のイメージですが、大学ではそれだけでなく、自分で考えることも重要になるからです。かくいう私も高校までは「有機化学=暗記」というイメージがあって、あまり得意ではありませんでした。しかし大学で学ぶうちに、法則やルールを理解すれば反応してできる生成物をひとつひとつ暗記しなくても自分で予想できることがわかり、自分で考えて答えを導き出す楽しさを知ったのです。それがきっかけで、有機化学の道を選択することになりました。自分で考えるということは、面白いことです。もちろん覚えなければいけないこともあるので、覚える必要があることは覚えてほしいですが、何でもかんでも答えを全て丸暗記するのではなく、「覚えなければいけないところ」と「考えればわかるところ」との区別を自分でも考えて整理し、それを踏まえたうえで勉強すると良いと思います。実験でも勉強でも自分の頭で考えるということを積極的にしてほしいと思います。

教科書に載るような研究を目指して

私が研究しているのは、「高分子化学」と呼ばれる分野です。そのなかでも“ハイパーブランチポリマー”という分子内に多数の分岐構造を有する多分岐高分子の合成法の開発やその特性について調べています。一般によく知られている高分子(直鎖高分子)が、枝のない1本の長い木だとすると、ハイパーブランチポリマーはたくさん枝の生えた長い木にたとえられます。木の長さが長くなるほど、枝の数も増えていきます。このたくさん枝をもっているところが、ハイパーブランチポリマーの大きな特徴で、その枝の先にどのような分子 (官能基) をくっつけるかによって、高分子の性質を大きく変えることができます。

ところがこのハイパーブランチポリマーを一般的な方法で合成すると、さまざまな長さのものができてしまいます。それだけ長さ(分子量)を制御することは難しいのです。そこで私の所属研究室では、その長さをうまく制御する新しい合成法を開発しました。現在は、その手法を使って、新たな高分子の合成やその性質を調べているところです。

この研究は、化学の基礎研究よりのものですので、今すぐ何かの分野に応用したり役立てたりできるものではないかもしれません。ですが、地道に実験を重ね、高分子の機能をひとつずつ明らかにしていくことは、面白いですし達成感も大きいです。研究者としては、いつか教科書に載るような研究成果をあげて、化学分野に何らかの形で貢献できればと思っています。

自分の選択を分析することが自己を知るヒントに

大学の4年間は瞬く間に過ぎ去ります。私自身の大学時代を振り返ってみても、研究以外で何かにとことん打ち込んだという経験をあまりしないうちに、あっと言う間に終わったという印象です。ですから学生の皆さんには、勉強はもとよりそれ以外のことでも、自分がしたいと思うことやその時にしなければならないことに、全力で取り組んでほしいと思います。また、その過程では、何度か必ず選択を迫られるような分岐点に出くわすことがあるはずです。その時は、自分自身と向き合い、自分がどう考え、どのような理由でその選択をしたのかということを自己分析してみてください。それが自分の得手不得手や好き嫌い、興味の範囲を知るヒントになります。

また、繰り返しになりますが、高校と大学では学び方が違います。大学では、気になったことは自分で調べ、能動的に学んでいかなければなりません。ですから、ぜひメモを取る習慣を身につけてほしいと思います。授業でもそれ以外の場面でも、話を聞いていて自分にとって大事だと感じるものがあれば、メモをしてみてください。キーワードを書き留めておくだけでも、後から自分で調べるときの手がかりになります。メモをとるだけで終わらせず、メモを見て自分で調べたり考えたりすることも大事です。そういう習慣は、社会に出てからもきっと役に立つはずですよ。

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