工学部 物質生命化学科
中澤 順 助教
Nakazawa Jun

研究分野 金属錯体化学、触媒化学

生年/1979年
血液型/O型
出身地/滋賀県
家族構成/妻と息子一人
趣味/ドライブ、アウトドア (全然行けてない…)
休日の過ごし方/近くのショッピングモールへ買い物
子供の頃の夢/職人さん
尊敬する人/熟練技術や伝統を守り伝える方々
愛読書/いろんなジャンルの本を読みますが、歴史小説が多いかも
好きな食べ物/うどん、イタリアン

工学部 物質生命化学科 中澤 順 助教

大学時代は何かに思い切り打ち込むのに適した時期。
何にでも、真正面から根気よく取り組んでみよう。

繰り返しの結果、何かがつながって、全てが見渡せるときがくる

私は「物質生命化学実験Ⅰ・Ⅱ(2年生)」のなかの無機・分析化学系の学生実験と、「無機分析化学演習」を主に担当しています。

学生実験では少しでも学生の皆さんに関心を持ってもらえたらと思い、ミネラルウオーターや海水中の成分量測定、栄養ドリンクやコーラに含まれるカフェインの定量など身近なものの分析を行っています。それと同時にピペットの持ち方などから始め、実際の研究において用いられているさまざまな化学分析機器の使い方を学んでもらいます。化学のどの分野に進んでも、小さくて目に見えない分子の構造や量、そしてさまざまな性質を分析する必要があります。学生実験および演習を通して、このような分析の原理・実験方法・計算を身につけてもらいたいと思います。

大学に入学すると有機化学、無機化学、物理化学、分析化学などたくさんの授業を受けます。私自身、学生時代にはこれらの授業は全部が新しい内容ばかりで、それぞれ独立した教科のように感じられて理解するのに苦労しました。学年が上がるにしたがって各分野間の関連性を少しずつ学び、卒業研究で実際に化合物を扱っていくなかで、卒業間近にやっと「化学ってこういうことなんだ!」と急に全体が見渡せたような気がした記憶があります。

私は中学から大学まで部活で体操をやっていたのですが、体操というのはなにかが足りないと技を決めることができないものです。それが何なのかは練習しているときにはわからないのですが、反復練習を繰り返していくと、その何かが揃った瞬間に突然、技が決まるようになるのです。その感覚に似ているかもしれません。たとえば旅も同じですね。たった数日間の滞在では有名な観光地を見に行くだけで終わってしまいますが、そこに長く滞在することによって現地の生活環境が見えてきたり交流が広がったりというように、視点が変わってきます。なにごとにも長く接することで見えてくる側面があるのです。

大学時代というのは、何かこのような対象を見つけて取り組むのに適した時期です(できたらその何かが勉強であってほしいですが…)。希望通りの進路でもそうでなくても、一度実行すると決めたらまずは地に足を着けて真正面から根気よく取り組む経験をしてほしいと思います。最終的に違う道に進むことになったとしても根気よく取り組んだ経験は必ず生きるはずです。さらに一緒に打ち込んだ仲間は生涯の友人になるでしょう。

予想外の性質が現れるところが、金属錯体化学の面白さ

私個人の研究テーマは「金属錯体化学」という分野です。そのなかでも特に金属錯体触媒というものの開発を目指しています。

金属塩、例えば無水硫酸鉄(Ⅱ)を水中に入れると、鉄イオンの周囲には水分子が結合して [Fe2+(OH2)6]2+(SO4)2- という構造になって溶解します。このように金属イオンは多くの場合4〜6本の結合可能な手を持っているため、単独で存在するよりも周囲を配位子と呼ばれる分子に取り囲まれた金属錯体という構造を好みます。金属の手に結合させる分子の種類を変えることで新たなそして違った性質の金属錯体を合成し、これを用いてさまざまな機能を生み出すのが金属錯体化学という分野です。色素、発光材料、磁石、抗がん剤、MRI造影剤などいろいろ開発されています。

例えば乾燥剤シリカゲルのなかにある青い粒に水分を加えるとピンク色に変化します。これは青い粒に含まれるコバルトに水分が結合して性質が変わったために起きる変化です。また、動脈を流れる酸素が多く含まれた血液は赤く、静脈を流れる酸素が少ない血液は青みがかって見えるものですが、これは血液中のヘモグロビンに含まれる鉄に酸素が結合して起きる変化。このように金属錯体というのは身近なところにも多く存在しているのです。

またこの機能のひとつとして、有機分子が配位子として金属イオンに結合すると、その配位子自身が活性化されて他の分子と反応していく場合があります。このような働きを触媒といいます。野依良治先生、鈴木章先生、根岸英一先生はこの金属錯体を利用した新しい種類の触媒反応を開発されてノーベル化学賞を受賞されました。私は過酸化水などの酸化剤が錯体の金属イオン上に結合するとどのような活性中間体種が生じるのか、そしてこれがどのような活性を示すのかを調べる研究を進めています。さらに配位子となる分子を固体表面に連結して並べることにより、溶液中とは違った構造や性質の金属錯体を作りだすことも研究しています。

金属錯体の合成の特徴は金属イオンが持っている多くの手にどの配位子を結合させるかを考えておこなっても、この結合は比較的置き換わりやすいので、予想とまったく異なった金属錯体ができてしまうことが多々あります。この予想外の金属錯体が今までと全く違った性質を示すことで研究が広がることも、この分野のひとつの面白さです。

恩師が編集委員長を務め、お世話になった多くの先生方が著者に加わり出版された本
恩師が編集委員長を務め、お世話になった多くの先生方が著者に加わり出版された本。学生時代から実験の節目に読み返して参考にしている

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滋賀県人なら一家にひとつは持っている信楽焼タヌキ。実家には巨大タヌキも住んでいるが、神奈川には小タヌキを連れてきた。最近では隣に彦根ネコも並び、毎日玄関で癒されている