工学部 物質生命化学科
井川 学 教授
Igawa Manabu

研究分野 酸性雨(霧)とその環境影響に関する化学、膜の化学

生年月日/1949年10月15日
血液型/A型
出身地/長崎市
趣味/山歩き
子供の頃の夢/化学者
尊敬する人/大学の恩師(山邊武郎先生)
愛読書/もっとも印象の強かった本ということなら『カラマーゾフの兄弟』
休日の過ごし方/読書、仕事、園芸
家族構成/妻、長女、長男の4人家族
好きな映画/「男はつらいよ」、他にチャップリンの作品
好きな音楽/中島みゆき、三橋美智也の歌
好きなTV番組/自然や動物の生態を紹介するもの
好きな食べ物/ドリア(妻の得意料理)
好きな国/日本(伝統文化と自然)

工学部 物質生命化学科 井川学教授

自分に合ったこと、好きなことなら大きな力を発揮できる
大学生活を送る中でそれを見出そう。

化学の視点から考える環境問題

私は、“膜分離”の研究で博士号をとりましたが、環境関係の仕事も手がけたいと思っていました。1986〜87年に、本学の在外研究員としてカリフォルニア工科大学に行って“酸性霧”の研究をしているホフマン教授と出会い、酸性霧に興味をもちました。霧は雨よりも液量が少なく、体積あたりの表面積が広いために大気汚染物質を吸収し易いことから、成分濃度が高くpHも低く大きな環境影響があります。日本に戻り、霧の発生頻度の高い神奈川県・丹沢の大山で酸性霧の採取・調査を始めましたが、採取装置をつくるところからのスタートでした。霧の発生と同時にこれを感知し自動的に採取できる装置は、外国では使用されていましたが、まだ日本にはなかったのです。その後、調査・研究を重ねるにつれ、霧の成分濃度と大気汚染、山の標高、気象条件との関係など、たくさんの興味深いことが見えてきました。

大山ではその頃すでに、モミ林の衰退が起こっていましたが、酸性霧の調査結果や、モミの苗木に酸溶液を霧状に噴霧して応答を調べる暴露実験などにより、酸性霧が衰退の原因の一つである、ということを明らかにしました。これらの結果は、化学の視点からの大気環境の植物影響の研究としてまとめています。また、丹沢の主峰では現在、深刻な衰退が起こっていて、ブナが枯れ木のオブジェと化している地域もありますが、残念なことに対策は大変遅れています。そこでブナについても暴露実験を行い、酸性霧との関連について解明を進めています。

社会が求めているのは様々な能力

酸性霧にはじまり、大気汚染、ひいては森林衰退問題にも取り組むようになったわけですが、このような研究をするようになったのは、私の学生の頃の時代の影響が大きかったと思います。1968年に地方から東京に出てきた途端、大学が学園紛争でストライキになったのですが、おかげで人生を深く考える時間ができました。ちょうどその頃は戦後の高度経済成長の時代が終わろうとしている時で、様々な公害問題も起こっており、それらの問題の解決に尽力したい、と思ったことでした。

いつの時代も、社会が求めているのは様々な能力です。皆さんも自分の好きなこと、興味のあること、自分に合っていることを、最も感受性の豊かな時期に大学生活を送る中で見つけてください。そしてそのことについてよく学ぶなら、必ず大きな力を発揮できるはずです。


在外研究員として過ごしたカリフォルニア工科大学の記念のマグカップ。以来毎朝、このカップでブラックコーヒーを飲んで研究室での一日が始まる


学生時代に山歩きで愛用していたキャラバンシューズ