工学部 経営工学科
中島 健一 教授
Nakashima Kenichi

研究分野 ジャストインタイム(JIT)生産システム、環境配慮型(循環型)生産システム、TQM(総合的品質管理)とISOの統合、サービスの質および効率性向上

血液型・星座/AB型・獅子座
出生地/山口県
趣味/親孝行・研究
子供の頃の夢/世界中の人たちと一緒に仕事をすること
愛読書/司馬遼太郎の作品
休日の過ごし方/知的好奇心を刺激する活動
好きな映画/「Breakfast at Tiffany's」
好きな曲/「Moon River」「You're My Only Shinin'Star」
好きな絵画/ルノワールやモネなどの印象派の作品
好きな都市/ボストン

工学部 経営工学科 中島健一 教授

経営工学とは、モノ作りの場で個の特徴を活かし、
全体の調和をとりながらトータルな性能をより良くしていく、
オーケストラの指揮者のようなものです。

さまざまな分野に幅広く貢献できる学問分野

皆さんは「経営工学」とはどのような学問分野かご存じですか?「工学」というとまず初めに、機械などを使って製品を作る「固有技術」をイメージする人が多いと思います。しかしモノ作りの現場においては、“良い製品をいかに低コストで、効率よく生産するか”を考える「管理技術」も大切な側面であり、経営工学とは、それらの方法を研究する学問です。モノ作りの構成要素としては、生産技術、設備、資材、労働力といったものが挙げられます。当然これらの性能・能力を高めることは重要ですが、これら全体をまとめ、ムダをなくしてシステムを効率よく運用する管理技術がなくては、せっかくの個々の技術が活かされません。この技術こそが製品に競争力のある付加価値を与え、企業側にとっては利益を、顧客側にとっては満足度を高めるための大切な要素になるのです。モノ作り全体のシステムをデザインし、調和をとりながらより良いものにしていく・・・経営工学とは言ってみれば、オーケストラの指揮者のような役割なのかもしれません。また、たとえば日本の誇る高度な技術製品の中には、優れた機能を有しながら世界市場においては他国の後塵を拝するという現状がありますが、経営工学では“優れた技術をいかに広く普及させるか”という技術マネジメント的な側面も研究テーマのひとつとしています。

このように、さまざまな分野に幅広く貢献できることがこの学問分野の特長であり、自身もそこに魅力を感じ、高校卒業後に進んだ名古屋工業大学工学部・生産システム工学科では、経営工学コースを選択し、現在に至るまでの専門となりました。この分野は日本ではまだ認知度が低いですが、アメリカでは人気が高く、モノ作りだけではなく、医療や小売業などのサービス分野も含め、さまざまな形で企業・社会に貢献しています。ちなみに経営工学の歴史は、19世紀末〜20世紀の初め、フィラデルフィアの製鋼所で職工として働いていたフレデリック・ウィスロー・テーラーが、作業員の課業管理を行うことから発した「科学的管理法」から始まるといわれています。

環境に配慮した生産システムの研究

研究テーマとしては、まず「ジャストインタイム(JIT)生産システム」に関するものがあります。これは徹底的なムダの排除によりコスト低減を目指した生産システムで、「必要なものを、必要な時に、必要なだけ生産する」というJIT概念のもと、各生産工程では「かんばん」という部品情報管理票を使用し、在庫のムダやそれに派生するムダを排除した、「かんばん方式」とも呼ばれる世界的にも有名な管理システムです。さらに現在では、「環境配慮型(循環型)生産システム」に関する研究も行っています。これは、製品寿命が終わった家電製品や自動車、情報機器などを効率よく回収・解体する仕組みや、解体した部品を有効資源として再生産に活用するためのシステムのモデル化や性能評価、最適化を行っていこうというものです。

経営工学の分野では、「QCDE」(Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)、Environment(環境))と「PDCA」(Plan(計画)-Do(実施)-Check(検討)-Act(処置))という言葉がよく聞かれます。システムの改善においては、「環境を考慮しながら、品質、コスト、納期」における評価が必要であり、PDCAサイクルを回した継続的改善を行わなくてはなりません。上述のJIT生産システムや環境配慮型生産システムも同様であり、ひとつの問題が解決してもそれに満足せず、理想のシステムを目指してさらなる問題解決へと立ち向かっていくわけです。変化の激しい現代社会に必要な、未来志向で夢のある研究分野だと考えています。

実際に物を見て、自分で考え行動する「現場・現物・現実主義」

経営工学は実践の学問であり、「現場・現物・現実」が重要です。実際に生産の現場に足を運んで、どのような製品を、どのような生産環境・手順で作っているのかを自らの目で見て、考えることが求められています。これは経営工学に限ったことではなく、私たちの生活の中でも活かされることではないかと思います。

私は大学院修了後、本大学に赴任するまで大阪工業大学で教鞭をとっていましたが、この間の1998年から1年間、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)に研究滞在しました。MITは上記のJIT生産システムを研究し、それに基づいたリーン(ムダのない)生産システムを提唱した、世界屈指の研究環境が整っている学びの場であり、そこではLaboratory for manufacturing and productivity(生産と生産性に関する研究所)に所属しました。さまざまな研究を行う中で専門知識を深めたことはもちろんですが、世界中から集まる研究者や学生たちと日常的に接することにより、世界の中での日本を意識するようになり、グローバルな視野が広がる多くの経験を積むことができました。

皆さんにも、日本はもとより海外においても、自分の目でたくさんの物を見て、自分で考え、行動することを学んでほしいと思います。

※中島 健一先生は〈工学部・総合工学プログラム〉にも掲載しております。

共著書『Environment Conscious Manufacturing』(環境配慮型生産)
2008年、共著書『Environment Conscious Manufacturing』(環境配慮型生産)の13章で、現在取り組んでいる環境分野のテーマの一つである「不確実性を考慮した再生産システムの最適政策」について執筆した

(社)日本経営工学会より、論文奨励賞
1996年「ジャストインタイム(JIT)生産システム」における「外注かんばん」に焦点をあて「外注かんばん方式の確率的性質と最適性」と題した論文を発表し、(社)日本経営工学会より、論文奨励賞を受賞した