工学部 物理学教室
垣本 史雄 教授
Kakimoto Fumio

研究分野 宇宙線物理学、高エネルギー宇宙物理学

生年/1950年
出身地/東京
血液型/O型
家族構成/妻と子供2人(男女各1人・子供2人は既に独立)
子供の頃の夢/研究者
愛読書/福永武彦、星新一、山本周五郎、F. Kafka、A. Camusの著作物
趣味/クラシック音楽鑑賞や落語鑑賞(特に志ん朝)。このほか若いときはギター、野球、スキー、空手など
休日の過ごし方/クラシック音楽鑑賞
好きな映画/「アラビアのロレンス」
好きな音楽/交響曲、協奏曲、管弦楽曲。最近愛聴しているのは、S. Barber、B. Britten、E.W. Korngold、D.D. Shostakovich作曲のヴァイオリン協奏曲
好きなTV番組/「英雄たちの選択」「歴史秘話ヒストリア」など、歴史を題材とした番組
好きな食べ物/カツ丼
好きな国/日本

工学部 物理学教室 垣本史雄 教授

未だその起源が解明されていない宇宙粒子線は、
宇宙からの情報を得る最後のフロンティア。

高エネルギーかつ特異な性質を持つ宇宙粒子線

1912年、オーストリアの科学者が気球に乗り、上空に行くにつれて減少する環境放射線の観測を行っていました。ところがある地点から予測に反して増加し、宇宙から放射線が飛来していることが分かりました。これが私の研究領域である宇宙線の最初の発見です。

宇宙線は宇宙を飛び交う放射線で、その主成分は陽子やヘリウムをはじめとする元素の原子核です。これを特に宇宙粒子線と呼びます。エネルギーは「eV(エレクトロンボルト)」という単位で示され、これまでに観測された最高エネルギー値は1020 eVを超えています。そう言ってもピンとこないかもしれませんが、16sの鉄の玉を1メートルの高さから落としたときに、地表で得られる運動エネルギーに相当する、と言えば想像できるでしょう。宇宙空間には、ひとつの粒子がこれだけの高エネルギーを持つ宇宙線も飛び交っているのです。

私は宇宙粒子線が、どのような天体で、どのようなメカニズムで発生しているかを解明しようと研究を続けています。同じように宇宙から飛来しているX線やガンマ線、ニュートリノは宇宙空間を直進するため、すでにそのほとんどの起源天体が確立しているのに対し、宇宙粒子線は電荷を有することにより宇宙磁場中で進行方向が曲げられてしまうことが主な原因で、広い宇宙のどこから飛来しているのか未だ分かっていません。天体起源ではない可能性や、ビッグバン以前のインフレーションの過程で起きた相転移が源であるといった考え方もありますが、高エネルギーになるにつれて到来頻度が少なくなるなどの理由から観測が困難で、解明の難しい分野です。宇宙からの情報を得る最後のフロンティアでもあり、多くの困難を克服し、宇宙粒子線起源解明に貢献できることを願っています。

水が砂に吸い込まれていくように知識を吸収してほしい

現在の担当講義「物理学実験A」では、物理実験を楽しみながら、「テーマの理解」や「測定技術の修得」及び測定結果を他者に正しく伝えるための「レポート作成」、「プレゼンテーション力」といった、現代人に不可欠なスキルを身につけることを目的とした講義を行っています。

「宇宙科学T・U」は、全学生対象の教養科目で、講義では宇宙における現象を解説し、その背後にある宇宙の仕組みや、現象の原因を理解することに重点を置いています。宇宙は約137億年前に誕生し、その直後に存在した元素は水素とヘリウムのみでした。その後、長い年月をかけて重い元素が生成され、46億年前に太陽の惑星である地球が誕生し、そして人類が生まれました。皆さんにはその理屈を理解し、感動してほしいと思います。私たちはこの広く深遠な宇宙空間で、いわば偶然的に生まれた存在です。だとすれば、小さなことにくよくよしたりせず、存分に楽しみながら生きたいと思いませんか。

学問や知識は、皆さんのこれからの人生を豊かにし、あらゆる局面で生かされるものです。そして、それを効率よく修得できるのが大学です。「ただ単位が取れて卒業できればよい」と考えるのではなく、がむしゃらに勉学に励んでください。このとき最も悪害となるのが「どうせ自分には分かるはずはない」という思い込みです。教科書や参考書は、読者が理解できるように工夫を凝らして書かれたものですから、理解できないはずはありません。それでも分からないときは積極的に質問をしてください。分かってもらうまで説明を尽くしますので、どうかまっさらな気持ちで、水が砂に吸い込まれていくように知識を修得してほしいと願っています。

『量子力学』(ディラック著・朝永振一郎ほか訳/岩波書店)
東京工業大学の学生時代、量子力学を深く理解するため、毎週友人たちと勉強会を開催。そこで使用した参考書が『量子力学』(ディラック著・朝永振一郎ほか訳/岩波書店)。自主的に勉強したこのときの知識や体験は、現在の私の根幹をなしています

A. Dvorak作曲交響曲第9番「新世界より」のLP
小学校の3年生のときにCMで第4楽章を聴いて魅了され、それからずっと愛聴しているA. Dvorak作曲交響曲第9番「新世界より」のLP(L. Bernstein指揮 New York Philharmonic 演奏)