工学部 化学教室
岩倉 いずみ 准教授
Iwakura Izumi

研究分野 有機反応化学、レーザー化学

出身地/横浜
趣味/お菓子作り、サッカー観戦(ゴールの瞬間だけでなく、そこへ至るまでのプロセスを観る面白さは研究に通じる)
休日の過ごし方/レーザー実験(休日の研究室は人が少ない分、人の動きによる小さな振動が少なく、良い実験結果を得やすい)

工学部 化学教室 岩倉いずみ 准教授

研究は推理小説やクイズの答えを考えている時と同じ。
「解きたい!」「解く!」「解けた!!」というおもしろさが、
はまりこませるのです。

化学反応が進行する様子を、超短パルスレーザーで“みる”

水素(H2)を酸素(O2)存在下で燃焼させると、水(H2O)になるという反応は、皆さんも中学時代に学んだと思います。ですが実際、どのようにして水素と水素の結合が切れて、水素と酸素の結合が形成されるのか?ということまでは、習っていませんよね。これは化学の世界でも、ずっとブラックボックス、つまり目でみることのできないものであると思われてきました。そういう「化学反応に伴って原子と原子の結合が解離し、生成する瞬間」を目で“みたい!!”というのが、私の研究です。その手法は、ミルクが落ちる瞬間にできるミルククラウンなど、人の目では捉え切れないほど速い動きを、高速フラッシュで写真撮影する手法と同じです。分子内で原子が振動する周期よりも短い、5フェムト(10-15)秒パルスをストロボとして使うことで捉えます。例えば、アリルビニルエーテルという物質は、加熱すると構造内で炭素と酸素の結合が切れて、炭素と炭素が結合します。これをクライゼン転位と言います。この反応において、炭素と酸素の結合がどのようにきれて原子がどう動いて炭素と炭素の結合が形成するのかという過程をみました。

現在は5フェムト秒パルスのレーザーを使っていますが、将来はもっと短いパルスで化学反応を捉えたいと思っています。今や、世の中ではフェムト秒よりも短い、アト(10-18)秒パルスの光を発生させることができますし、最先端ではゼプト(10-21)秒の現象も捉えられています。私としては、ゼプトとまでは言いませんが、アト秒パルスには挑戦したいです。フェムト秒パルスでは、化学反応がおこる時に、原子核がどう動くかということがみえますが、アト秒パルスでは、原子の周りにある電子雲がどう動くのかを捉えることができるようになります。それを自分の目で、みてみたいのです。

このように「知りたい!」という強い気持ちは、研究のモチベーションのひとつです。私にとってそれは、推理小説を読んだり、クイズ番組を見て答えを考えたりしているときの楽しさと同じような感覚。「なぜだろう?」と思って答えが気になって、自分で手を動かして解いていくおもしろさ。そして、答えに行き着いたときの感動。その繰り返しが、研究なのだと思います。

寝る間も惜しむほど熱中できるものを見つけよう!

学生の皆さんには、大学在学中に、寝る間も惜しむほど熱中できるものを見つけてほしいと思っています。そのためにも、自分の枠にとらわれることなく、何にでも挑戦してみてください。私自身の話をすれば、大学院時代は有機合成の研究室に所属していて、パソコン上で反応機構をシミュレーションしながら有機合成反応の開発をしてきました。その後、授業の一環で、たまたま物理分野の先生から「レーザーを用いれば化学反応がみえる」という話を聞き、「私もみたい!」「おもしろそう!」と、それまでとは全く違うレーザー化学の分野に飛び込みました。

学生の皆さんにも、自分の知らない分野に、思いがけない出合いがあるかも知れません。自分が得意だとか好きだと思っていることばかりではなく、それ以外の色々な分野に触れてほしいと思います。もし興味を持てなければ、方向転換をしても良いのですから、広い視野を持ってほしいですね。そして将来は、本当に自分が面白いと思える分野で、仕事をしてもらいたいなと思っています。

ナノ秒パルスのレーザーを当て、サンプルが発光している様子
ナノ秒パルスのレーザーを当て、サンプルが発光している様子。研究のメインテーマであるフェムト秒パルスのレーザー実験装置は、現在、構築中

博士課程1年の時に参加した国際学会(フランス)での思い出の品
博士課程1年のときに参加した国際学会(フランス)での思い出の品。学会後のゲーム大会で、本や論文でしか知らない世界的に著名な先生方と同じチームになり、優勝! 勝利を祝して、代表して私がシャンパンのサブラージュ(シャンパンサーベルを使った抜栓)を行い、カットした栓を記念に頂いた