工学部 電気電子情報工学科
森住 哲也 助教
Morizumi Tetsuya

研究分野 情報学

出身地/神奈川県
血液型/A型
子供の頃の夢/思い出せない
尊敬する人/実践する人
愛読書/哲学書の乱読
趣味/バイクでツーリング(したい)
休日の過ごし方/研究あるのみ
好きな音楽/バッハ、バロック、ロック
好きな著名人/ジル・ドゥルーズ、ウィトゲンシュタイン
好きな食べ物/海老と蟹だったが、最近アレルギーになってしまった

工学部 電気電子情報工学科 森住 哲也 助教

西洋哲学や能楽論にヒントを得ながら、
ICTで使う新しい"道具"を作ろうとしています。

基礎理論を理解し、概念を発見することを心がけている

2015年10月、神奈川大学に赴任し、2016年度は「電気電子情報入門」「自然科学入門」「電気電子情報実験III・IV」などを担当します。「電気電子情報入門」では、インターネットの仕組みやクラウドの概念など、私の専門分野(情報学)の話をしながら基礎的な内容を講義します。「自然科学入門」では、これも情報学と絡めながら、例えば「理論と知覚との相互作用を考えながら「普遍」や「絶対」といった言葉は適当か?」といった科学哲学に類する話をします。そして「電気電子情報実験III・IV」では、実際に手を動かしながら、画像処理やインターネットを支えるルーター網の仕組みを知ってもらいます。ほかに輪講や卒研も担当しますが、いずれの場所でも、学生の皆さんが基礎理論を理解し、その上で新たな概念を発見できるといいなと思っています。

情報学を専門とする私の希望として、皆さんにはインターネットを「言語のシステム」と見なして、そこで使用可能な「技術」、「理論」、そして「概念」を学んでほしい。特にアプリを含めた新しい仕組みを私たち自身が生み出すためには、システムの理念を支える哲学的な概念を捉えることが大切です。そして、言語のシステムを使用するために、それぞれの<私>自身がやりたいことを持つこと、即ちビジョンを持つ必要があるということなのです!

例えば、規則や理論がなぜそこに在るのかを疑うことから始め、その上でソクラテスの言葉として知られる『(<私>たちが)ただ生きるのではなく、善く生きる』ために、社会において「技術」のあるべき姿を考える。そうした準備をしながら、インターネットで使用されるオープンソースの文化的遺伝子を表現する一つの手段としてのプログラミングを身に付け、まるでアーティストが作品を作るようにサクサクとプログラムを書けるようになったら、きっと楽しいと思います。

インターネット上での「振舞いの潜在的な相互作用」の研究

今、色々な立場の仲間と一緒にICTで使う新しい"道具"を作ろうとしています。まだ研究の道半ばで、皆さんに理解してもらえるように説明するのはとてもとても難しいのですが、ひとことで言うと「振舞いの群れの検索とシミュレーションを道具立てとしたパターンランゲージ」の研究です。

もう少し分かりやすく説明するために、インターネットの中のテクストの群れ(クラウド)を水面にたとえ、<私>たちの振舞いをトンボにたとえてみましょう。<私>たちの振舞いがインターネットにアクセスすることは、トンボが水面にちょんちょんと尾をつけるしぐさのようなもので、そうすると同心円状に波の輪が広がっていき、その輪がお互いに触れ合い干渉し合ったりします。これをインターネット上での「振舞いの相互作用」と呼ぶこととします。社会の中で人は日常的につながって相互作用の中で生活しているのに、インターネットの世界では、<私>たちは一つひとつの情報と見做されて、そして概念的に分断されてしまうのです。だからトンボたちと水面の相互作用をインターネット上で一つの言語として、(言い換えれば『面(おもて)』として表して)それを交換することができたら、<私>たち一人ひとりの直観に訴えるという意味で「おもしろき」ものになり、しかも社会に役立つ「道具」になると確信しています。

この研究にヒントを与えてくれるのが、哲学者ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」の概念や、室町時代に能を大成させた世阿弥の「離見の見」や「目前心後」といった理念です。これらのまったく違う概念を組み合わせ、一つの普遍的原理を作るのではなく、(なぜならそんなことをすれば矛盾に満ちたものとなりますので)局所的で相対的な概念のつながりを作れるようにしたいと思っています。

<私>の知覚が潜在的な何かを感じ取って、それを振舞いと言う名の言語的な作用として示される、そんなアイデアはシステム概念として大そう趣のあるものにつながると思います。

興味の対象に全力で取り組み、続けることが大切

ぼくは2015年に定年退職するまで通信系の会社に勤務し、研究開発の職務に時間を費やしました。情報セキュリティ、Linux応用(TCP/IPをシングルタスクで動かすなど)、ATM多重化装置試作開発など、バリバリの物理層からアプリ層のソフトまでインターネットに関わるテーマに幅広く携わり、それらが前述した研究テーマの土台になっています。ただ、企業人として利益を睨み働きながらも、儲かればそれで良い、となりがちな現代社会のシステム自体に、「何かがおかしい」と感じていました。もしかするとそのことが、企業に勤めながら自分の研究を『持続』してきた原動力なのかもしれません。

皆さんは、今、目の前にある興味の対象に全力で取り組んでいますか? どんなことでもいいのです。たまたま机の上に置いてある哲学書に目が止まり、それを読むと言うことから始めたっていいと思うのです。きっかけは「縁」のようなものだと思います。だから、何に興味があるのかわからない時は、例えば先輩や友人の話を聞くとか、とにかくやってみることから始めるのも一つの方法ですよね。
そして一度始めたらそれを持続することが大切です。続けていないと自分が選んだものが自分にとって本物かどうか分からない。そして調子が出て来たら興味の範囲を広げてください!例えば情報学を選んだからといって、インターネットやクラウドだけを勉強していれば良いと言うわけではありません。

こんな風にチャレンジしていれば、それが実践的な生き方の『持続』につながって行くとぼくは思っています。

西洋哲学や能楽論に関する書物
研究にヒントを与えてくれる西洋哲学や能楽論に関する書物。哲学書を紐解いたのは人生の終着駅近くになってから。それらは論理学的な情報セキュリティモデルと言う研究分野を『持続』する必要条件でした

能のDVD
能のDVD。決して趣味ではありません。でも、能の舞や所作の中にこそ、何かしら研究のヒントがあり、いつの日か「降ってくる」と期待しながらボーッと見ています