工学部
鳥居 祥二 教授
Torii Shoji

研究分野 宇宙線物理学

生年/1948年9月24日
出身地/京都市
家族構成/妻+子供3人+孫3人
子供の頃の夢/物理学者
趣味/山歩き
休日の過ごし方/読書、映画(テレビ)
好きな映画/「アラビアのロレンス」
好きな食べ物/鱧、京都の漬物

工学部 共通教養担当 鳥居 祥二 教授

宇宙の全質量の95%はいまだ正体不明。
その謎を解明するために研究を行っています。

謎の残る「宇宙線」の起源を追究しています

宇宙には、私たちが望遠鏡で観測できる光の他に、X線やガンマ線などの目に見えない電磁波が飛び交っています。そしてこれ以外にも「宇宙線」と呼ばれる高エネルギーの粒子が存在し、地球にも常時、飛来していることがわかっています。宇宙線は、超新星爆発といった天体の現象によって発生することが解明されていますが、それだけでは説明のつかない宇宙線があり、世界中の研究者がその起源を追究しています。

私は、宇宙初期から存在しているにもかかわらずいまだ正体不明の暗黒物質(ダークマター)の観測によって、謎の残る宇宙線の起源を解明しようと研究を行っています。数の少ない暗黒物質を採取するためには、大規模な観測装置を長期間にわたって宇宙空間に設置しておく必要があり、私は1990年代から気球観測用の新しい観測装置を開発しました。これがJAXA(宇宙航空研究開発機構)の国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」のミッションとして採択されるまでに約10年、さらに6年を経て装置が完成し、2015年に種子島宇宙センターから打ち上げられました。宇宙空間で無事に観測装置が起動したときは、それまでの経緯を思い、安堵と感動で込み上げるものがありました。現在は日々、リアルタイムで宇宙から届く観測データを解析・蓄積しています。観測結果から、いったいどのようなことがわかるのか、非常に楽しみです。

多くの謎に包まれている宇宙について学ぶ

宇宙線や暗黒物質のように、宇宙にはまだ解明されていないことがたくさんあります。宇宙の全質量のうち、正体が明らかになっているのは5%程度とされ、残りの95%は正体が判明していません。担当講義の「宇宙科学T」「宇宙科学U」では、このように謎に包まれている宇宙について、その成り立ちや人類との歴史的な関わり、具体的にどのようなことが解明されていないのか、その謎を解くために世界でどのようなことが行われているのか、といったことを講義しています。いずれも基本的な知識とともに、できる限り最近の研究成果を取り入れ、最新の宇宙科学の知見によって理解を促すように留意しています。授業を通して、知識の習得に加え、皆さんが自分の興味の対象を発見したり、学ぶ意欲を持つきっかけをつかんでくれたりしたらと願います。

貴重な大学時代の経験が自分の基盤を作る

私が大学生の頃は学生運動が盛んで、教室で授業を受けることもままならない時代でした。ただ、そんな社会状況だったからこそ、自分の学びたいことを自由に勉強できたのかもしれません。アメリカで出版された物理学の参考書『Feynman Lectures on Physics』を手に入れて、友人たちと議論しながら読み、授業とは関係なく独自に勉強していました。この本は子供の頃から興味のあった物理の本質を理解するうえで大変役に立ち、もっと学びたいという意欲を高めてくれました。また、物理だけでなく文学や歴史の本を読んだり、文学部の先生を訪ねてカント哲学について教わったりすることもありました。

研究を続けていくためには、専門分野の知識や技術だけではなく、確固たる信念も必要です。大学時代に自ら学び様々な学問に触れた経験によって、物事に対する自分の考えや人生観といった基盤を築けたのではないかと思っています。ちなみに、当時の同級生たちとは今でも集まってさまざまな話ができる生涯の友人になりました。大学時代は、皆さんにとって自分の考えで行動できる貴重な時間です。友達と議論をしたり本を読んだり、多くの経験を重ねて自分を育ててほしいと思います。

国際宇宙ステーション搭載宇宙線観測(CALET)プロジェクト
毎年、国際宇宙ステーションで成果をあげた研究チームが表彰されます。私が代表者として従事している、国際宇宙ステーション搭載宇宙線観測(CALET)プロジェクトも、2018年に表彰されました

中国の宇宙船「神舟」の模型
中国の宇宙船「神舟」の模型。以前、共同研究を行った中国の研究者にもらったものです。中国の宇宙開発は、今めざましく進歩しています