工学部 建築学科
奥山 博康 教授
Okuyama Hiroyasu

研究分野 建築設備、建築環境工学

生年/1952年
血液型/A型
出身地/山形県
趣味/車の運転、水泳、読書(自然科学、哲学)
子供の頃の夢/物理学者になること
尊敬する人/両親
愛読書/著者フレデリック・フォーサイス自身による朗読の幾つかの小説
休日の過ごし方/下記「好きなTV番組」の録画を見ること、水泳など
好きな映画/SF的な映画
好きな音楽/オールディーズ(1960年代,コニー・フランシス,ブレンダ・リー・・・ABBAも)
好きなTV番組/Discovery、History、NATIONAL GEOGRAPHIC等の番組
好きな著名人/ブッダ
好きな食べ物/魚介類の和食料理(素材の風味を生かした料理)
好きな国/日本、次にはスウェーデン

工学部 建築学科 奥山 博康 教授

建築とは最適総合化技術です。
しかし、専門分化と高度化が進んでいます。

建築で重要なのは、意匠、構造と設備等の最適総合化

建築学は大きく4つの分野「歴史・計画・造形」、「構造」、「材料・施工」、「環境・設備」に分けられます。各分野はますます専門化し高度化しているので、本校の建築学科でも2年次から建築環境、建築構造、建築デザインの3コースに分かれます。しかし、建築学科の多くの学生がめざす建築家とは、本来これら全ての分野に精通して考慮でき、最適な設計にまとめ上げる能力を持っていることが望ましいのです。

例えば近年、ガラス張りの建築物が増えています。けれどそうした建物では、いわば太陽熱集光器のような効果も生じます。夏の大きな冷房負荷だけでなく、ときには冬でも冷房負荷が生じる建物になってしまうこともあります。意匠設計者が、見かけや心理的な開放感だけを重視し、建築環境工学への配慮を軽視すれば、電気エネルギーを無駄に使う建築ができたりします。一方、設備技術者も設備だけに頼る省エネを考えるのではなく、基本は建築的な方法が重要であることを理解していなければ、建築学の設備技術者ではなく、機械工学の設備技術者になってしまいます。建築学は全体システムで考えることに特徴があると思います。本学の建築学科も、やはりデザインコース志望の学生が多いですが、構造と環境の科目も一定の深さまで修得してほしいと思います。

そのため建築を志す人は、自分の専門分野以外の人の意見にもきちんと耳を傾け、常に謙虚であることが大切です。また人が暮らしたり、働いたり、遊んだり、さまざまな時間を過ごす場所を作るわけですから、建築だけにとどまらず、自然・人文科学の考慮も重要です。学生の皆さんには「建築は総合技術である」ということと、だからこそ「視野の広さと、謙虚さが重要である」ということを学んでほしいと思っています。

環境共生建築の省エネ効果を予測計算できるプログラムを開発

私は大学院の修士課程の時代に、汎用的な建築伝熱・換気モデルの着想を得ました。そして前職の建設会社の技術研究所では、これに基づくさまざまなシステム理論的な技術の研究を行い、また展開してきました。

例えば私の初年度の卒業研究指導のテーマでは、ソーラーハウスによる太陽熱利用、クールチューブと呼ぶ地中埋設のダクトにより夏季の涼房を図る地中熱利用、屋根散水による蒸発冷却利用等の、自然エネルギー利用建築を取り上げました。こうした環境共生建築と呼ばれるシステムを検討するため、私は電気回路のような図で表される熱・換気回路網と呼ぶ汎用モデルと、この計算プログラムの研究開発も手がけてきました。このプログラムを使うことで、実際に実験しなくても省エネ効果等が計算できるのです。

他にも実際の建物の熱・換気性能等を現場測定するためのシステム同定理論や、建築・設備システムを最適制御する理論等を研究開発しています。こうした建築伝熱や換気等に関して、さらに深く研究し、展開し、伝えたいと思い、教職の道を選びました。担当する講義や卒業研究指導の中で、こうした自身の研究内容も少しずつ伝えていきたいですね。

地球に「生かされている」ことを知り、感謝の心を持とう

環境共生は環境調和とも言います。環境共生建築とは、「気候風土にあった建物」とも考えられます。民族的な建物のありさまは、気候風土に合うように、長い歴史を経て形成されたのでしょう。そうした建物の建築物理学的な由来を考え、現代建築と設備に生かすことは研究テーマとしても興味深いと思います。

ただし地球環境問題に対して、技術的方法論だけで取り組もうとするのではなく、我々は地球に「生かされている」ことを知り、感謝の心を持つことで本当の意味で正しい方向性の技術になると思います。

ところで卒業研究は総仕上げで重要です。本学科では卒論生各人が違う研究テーマに取り組まなければなりません。大変な反面、立派な卒論が仕上がれば、得られた達成感は、将来の人生航路上の多くの困難を乗り越えていくための自信の源になると思います。

私が提案する研究テーマでは、実験的研究よりは、工学的計算モデル化の工夫と計算機実験による分析等が多いので、設備・装置的な制約や手間と時間は比較的に少なくてすみ、一人でも頑張るほどに大きな成果が得られると思います。

また私は真の技術革新は、流行を追うよりも基礎的なことの改革に潜んでいると考えています。安全・安心、健康と快適性の問題等についても、そもそも根源的問題は何なのかと疑問を持ち、自分自身で基本から考え直す志向を持って学び、そして研究してください。

スウェーデンのダーラナの名産である木彫り馬(大小5個)
スウェーデンのダーラナの名産である木彫り馬(大小5個)。寒冷な北欧は換気に関する研究がとても盛ん。私が研究していた換気測定法について興味を持った設備工学の教授から招かれて、研修生として1987〜1988年にかけて半年ほどスウェーデンの王立工科大学で研究をしていたときの思い出の品

恩師の木村建一先生(早稲田大学名誉教授)の著書『建築設備基礎理論演習』
恩師の木村建一先生(早稲田大学名誉教授)の著書『建築設備基礎理論演習』。学友には「まるで数学の教科書だ」と言う者がいた。いまでも時々参考にさせて頂いている。40年以上前の本で、残念ながら絶版になってしまったが、木村先生が希望者にはPDFで配ってくださっている