工学部 建築学科
趙 衍剛 教授
Yan-Gang Zhao

研究分野 耐震工学、構造耐震安全性評価、リスク管理

生年/1963年
血液型/B型
出身地/中国 山東省
家族構成/妻、長女、長男
趣味/囲碁、卓球
子供の頃の夢/科学研究者
尊敬する人/父親、師匠
愛読書/推理小説
休日の過ごし方/家族と一緒にアウトドア
好きな映画/「ビューティフル・マインド」
好きなTV番組/クイズ番組
好きな食べ物/基本的に何でも食べるが、辛いものが特に好き

工学部 建築学科 趙衍剛 教授

毎日の講義や演習の積み重ねで、力学的センス≠身に付けよう。

耐震安全に「絶対」はない!

建築というのは「計画」「環境」「構造」の三つの分野で構成されています。「計画」は建物の外観、すなわち形をデザインすること。「環境」は室内をどのように快適にするかという設備的な部分。そして「構造」は安全性であり、私が研究テーマにしているのはこの分野です。建築には人が長く快適に使用するための機能性が当然大切ですが、その前提として安全性(耐荷性、耐震性など)も大切なポイント。特に有数の地震国である日本では「耐震安全」の確保が非常に重要で、構造物の耐震安全性及び耐久性の正確な評価は、安全で安心できる社会を維持するための大きな課題です。

単純に考えれば、建築物に地震による破壊力以上の耐震構造を持たせておけば安全なはずです。しかし、そこで我々が想定している地震による破壊力というのはあくまでも想像に過ぎず、実際には建築物が建っている場所や諸々の条件によって想像以上の力がかかるかもしれません。また設計上安全であるとされた構造物であっても、実作業をした人間によるヒューマンエラーや材料そのものの不確実性などにより、想定した通りの安全性を発揮できないこともあります。このように現実にはさまざまな不確実性が存在しているため、耐震構造に関して「絶対安全」「絶対ダメ」という決定論的な考え方は必ずしもあてはまらないのです。だからこそ、定量的に耐震安全性を評価する尺度が必要になります。

私はこういった「耐震安全性評価」において、現実と設計との間のギャップとして多く存在している荷重と構造系における不確実要因を合理的かつ定量的に考慮したうえで、ライフサイクルコストの観点から構造物の安全性と使用性の経時変化を正しく評価し、構造物の設計、施工および危機管理に関わる最適な意思決定を行うための研究に取り組んでいます。

公式を暗記するのではなく、重要なのはその意味を理解すること

私が学科の授業で担当している「構造力学」は、簡単な仮定のうえに成り立つ理論体系が最も明快な力学のひとつで、コンピュータの発達に伴ってその勉強方法も大きく変わっています。現在では、問題を短時間で計算できるという特技よりは、むしろそれを解くために何をすればいいかを理解しておくことが特に重視されています。力学の大筋を知っておけば、実際の計算は計算機にさせればいいからです。要するに公式を覚えるだけでなく、その意味を理解して納得することが大切。そうすればどんな場合でも応用がききます。

さらに必要なのが、結果について評価するセンス。圧縮応力が出るべきところに引っ張り応力があるとか、対称性がある問題の答に対称性がないとか、結果を見ていろいろなことを判断するための自信を持つ必要があります。そういった「力学的センス」を身に付けるためには、やはり地道にこつこつと、毎日の講義・演習を積み重ねることが大切。なにより多くの問題を手を動かして解くのが早道のような気がします。

充実した構造実験設備を最大限に利用

また、多くの大学で構造実験が縮小する傾向にあるのに対して、神大は立派な構造実験設備と充実した実験科目に恵まれています。実際に目の前で構造変形などを観察すると、それまでいろいろな公式を覚えて頭のなかで計算していた力の流れ方が一目でわかり、構造力学の面白さが実感できるはずです。実験はグループで取り組むので手を抜くこともできてしまいますが、ぜひ積極的に参加して、せっかくの学ぶ機会を最大限に利用してください。教える立場から言えば、こうした実験を通してさらに学ぶことの楽しさや科学する方法を身に付けてくれれば最高です。

皆さんはまだ若いのですから何事も安易にあきらめず、「むずかしいから無理」ではなく「きっとできる!」と自信を持って突っ込んでいって欲しいと思います。

2008年の日本建築学会賞(論文部門)を受賞した際の記念の盾
2008年の日本建築学会賞(論文)を受賞した際の記念の盾。憧れの賞で自分の研究が認められたことはとても嬉しかった

著書の『事例に学ぶ建築リスク入門』(技法堂出版)
著書の『事例に学ぶ建築リスク入門』(技報堂出版)。日本建築学会応用確率論小委員会のメンバーとの共著で、受験や事故などのリスクといった応用事例を紹介し、リスクの本質をわかりやすく説明している。建築リスクを勉強するために最適な1冊