経済学部 経済学科
三浦 慎太郎 准教授
Miura Shintaro

研究分野 ゲーム理論、応用経済学

生年/1982年
血液型/A型
出身地/熊本県
趣味/サブカル全般
子供の頃の夢/特撮ヒーロー
尊敬する人/大学・大学院での指導教官
愛読書/『G戦場ヘヴンズドア』
休日の過ごし方/模型作り
好きな映画/「Back to the Future」「逆襲のシャア」
好きな食べ物/もつ煮

経済学部 経済学科 三浦慎太郎 准教授

人間関係のしがらみをいかに読み解くか。
それがゲーム理論のおもしろさ。

「目に見える」事柄から「目に見えない」事柄を導き出す

私が担当する「産業組織論」は、現実社会において頻繁に観察される企業行動や組織の在り方について経済学的手法を用いて分析する、応用経済学を代表する分野です。こう書くとずいぶん難しく聞こえますが、わかりやすくいえば「牛丼の値下げ合戦はどうして起きて、どんな結果をもたらすのかを分析する」といったことです。今年の春、吉野家が牛丼並盛りの値段を380円から270円に値下げしました。それを追って、すき家や松屋などの競合店も価格を下げた。こうした価格競争は私たち消費者にとっては単純に嬉しいことですね。けれど、企業側はどんな意図からそういう行為をしたのでしょう。牛丼の値下げは企業にとって何かいいことがあるのか、あるいは悪いことがあるのか。こうした目に見えない部分を論理的に解明しようとするのが産業組織論です。いわば企業間の競争や組織内の構造、組織というのはどのように形作られているか、また、無駄がない組織というのはどういうものなのか、ということを考える学問ですね。

観察された事象の背後にある原因・理由やその事象が将来的に引き起こす帰結など、「目に見える」事柄から「目に見えない」事柄を論理的に導き出す点が、この分野の大きな魅力です。また講義では、企業行動の背後に潜む深遠なロジックを直観的に説明するよう心がけています。

ゲーム理論は“しがらみ”を読み解く学問

世の中にはいろいろな経済活動がありますが、それを分析する手段のひとつに「ゲーム理論」というものがあります。これが私の専門分野です。一般的に「ゲーム」というと勝ちか負けどちらかの結果しかない印象があると思いますが、現実のなかで起こる対立では、必ずしも勝ち負けではなく、ある状況では利害が一致しているけれど、ある状況では利害が対立する、という状況の方がむしろ多いといえます。こうした利害の対立を乗り越え、いかにして協調関係を導きだすか。それを考えるのが「ゲーム理論」です。いわば人と人とのかけひきを分析するツール。他人の行動が自分の利害に影響を与えたり、逆に自分の行動が他人の利害に影響を与えるという、一種のしがらみがある状況をいかに読み解くか、というのがおもしろいところです。

なかでも私は「非対称情報下における個人間のコミュニケーション」について研究しています。大雑把に説明すると、例えば「就職活動の面接において、あなたの能力というあなた自身しか知らない情報を、面接官に信憑性のある形で伝えるためにはどのようにすればよいか?」という問題を「ゲーム理論」を用いて分析するわけです。就職活動において、重要なのは自分の能力を相手に証明することですね。そこで最も有効なのは成績や資格などの証明書。けれど、そういう目に見える形で証明できない部分は、面接などで伝えていかなければいけません。その際に、多少、自分の能力を「盛って」話すこともあるでしょう。

一方の企業側にしてみても、短い面接時間に学生の言っていることのどこまでが信頼できるのか判断するのは難しいこと。ですから、学生からの話を鵜呑みにするのではなく、その話がどういう意図から出てきたものかを考えます。そうすると学生側も、面接官がそういう予想をするだろうから、あまり話を盛りすぎるとまずいと考える。要するに相手の行動を予想して、自身の行動を決める。いってみれば相手の立場に立って物事を考えるということですね。それを繰り返して、最終的にはどういう状況が予測されるのかを分析していくわけです。最近はそうした研究で得られた知見を応用し、マスメディアが政治過程に与える影響についても考えています。

「ライアーゲーム」はゲーム理論を巧く使った成功例

実社会のなかでゲーム理論を利用したシステムとして一番うまくいっている例は、オークションの制度設計です。オークションといってもいろいろな種類があって、それぞれが異なった性格をもっています。一番欲しいと思っている人に、その商品が行き着くシステム。オークションに勝つための戦略的な動きをなるべく少なくするシステム。出品者に出来る限り儲けさせるシステム等々。いろいろな状況を考えて、オークションを設計したい人の目的に最も合致するような形を理論的にデザインし、それを提供するわけです。

また少し前に放送されていた「ライアーゲーム」というドラマでは、ゲーム理論的な考え方が随所に見受けられました。会場に集められたメンバーたちがゲームを行い、お互いの心理を読みあって勝ち抜けていくという物語でしたが、“ゲーム理論=人間関係のしがらみを分析するツール”という面を活かしたうまい見せ方だなぁと思いましたし、作中の「少数決ゲーム」ではゲーム理論の最先端における重要な考え方を上手に使っていて大変感心もしました。

現代は生き方についての「模範解答」がない時代だと思います。いわば「安牌」がなくなってしまった世の中で生き抜いていくには、自身の頭でしっかりと思考し、自己の選択に責任を持つ以外ありません。他人の話を鵜呑みにするのではなく、自分の頭でよく考えて判断してください。そのためにもゲーム理論は役に立つかもしれません。ただし、学ぶうちに理屈っぽくなったり、人の考えの裏を読んでしまったりするようになってしまうのが玉に瑕。これはもう職業病ですね(笑)。

約5年間留学していたワシントン大学セントルイス校(Washington University in St.Louis)のロゴ入りコーヒータンブラー
約5年間留学していたワシントン大学セントルイス校(Washington University in St.Louis)のロゴ入りコーヒータンブラー

同大学のロゴ入り置き時計
同大学のロゴ入り置き時計。帰国前の送別会で友人たちから贈ってもらったプレゼント