経済学部 経済学科
山口 拓美 教授
Yamaguchi Takumi

研究分野 倫理と経済との関係

好きな映画/「シャイニング」
好きなTV番組/「ピタゴラスイッチ」
好きな食べ物/ケーキ
出身地/岩手県
趣味/ストレッチ
子供の頃の夢/忘れてしまいました
尊敬する人/ジャンバルジャン(このような人が実在すると良いんですがね)
愛読書/『宮沢賢治全集』
休日の過ごし方/だいたいデパートに行きます

経済学部 経済学科 山口拓美 教授

経済活動は基本的に利己的なもの。
たまには利他的な行動もしてみよう。

新たな動物倫理が経済にどう影響するか

最近、私が力を入れている研究テーマは、動物倫理と経済との関係です。ご存じのように、昔の日本には殺生を禁じる厳格な動物倫理があり、牛と馬は労働の仲間として特に大切に取り扱われていました。牛馬は農耕や運輸にとって重要な存在でしたので、これらの動物を保護することは、経済の発展にかなり寄与していたと思われます。しかし明治以降、欧米から畜産が輸入され始めたことと、牛馬が農業機械や自動車などに取って代わられたことで、殺生を禁じる日本の伝統的な動物倫理はその力を弱めていき、高度成長を経て、ほぼ完全に姿を消してしまいました。一方、欧州では、ちょうど日本の高度成長期に新しい動物倫理が生まれました。牛、豚、鶏などの畜産動物のウェルフェア(福祉、幸福)に対する関心が高まり、大きな力を持つようになったのです。そのため現在では、畜産動物の取り扱いにおいて、欧州と日本との間にかなりの違いが見られるようになっています。欧州の畜産動物に比べ、日本のそれは、より過酷な状態で飼養されているというわけです。また、欧州では自分たちが食べている畜産物がどのようなプロセスを経て生産されたのか、ということに興味を持つ消費者が増えていますが、日本ではまだそこまで意識している人は少ないようです。

なぜこのような相違が生じることになったのか。また、新たに生まれた欧州の動物倫理が文化の枠を越えた普遍性を持つのかどうか。さらに、もし普遍性を持つとすれば、それは経済の発展にとって何か寄与する要素を持つのか、ということが気になります。おそらく、自然と共生する持続可能な発展のためには、何らかの動物倫理が不可欠なのです。それが、現在のような欧州の動物倫理なのか否かはまだよく分かりません。なお、日本では、欧州に比べて労働者の取り扱いもかなり過酷なようですので、労働者搾取にも目配りしつつ、経済動物の搾取について研究しているところです。

株価や円相場など身近な話題で経済を学ぶ

私は主に1年生向けの、教養科目の経済学を担当しています。全学部の学生に対して開かれているので、高校時代に政治経済を履修していなかった人でもすんなり入れるような、初歩的な内容からスタートしています。貨幣、労働、資本、景気循環、金融、国際経済、農業経済、環境経済など、経済全般について幅広く取り上げていますが、学生からの質問が多いのは、やはり株や円相場についてです。株価や為替レートは必ずテレビのニュースで取り上げられるので、耳馴染みがあるのでしょう。そこで金利、株価、外国為替相場の変動など、身近な話題により多くの時間を割くようにしています。毎回、新聞記事を貼付けたプリントを配り、できるだけニュースなどで取り上げられている話題を扱いながら、経済の基礎を学びます。全部で26回ある講義のうち1〜2時間は食や農業などのトピックスにも触れていきます。

基本的に経済活動というのは自分の利益のために行うもので、経済学においては人間は自分自身の利益を大きくするために行動している、というのが前提です。そのためか、経済学には人が生まれながらに持つ利己的な側面を増幅してしまう力があるようです。受講者の皆さんには、あまり嫌な人にはなってほしくないので、時々献血をするよう勧めています。献血は、何の対価もなしに自分の血液を提供するという利他的な行為で、利己的な行動である経済行為とは正反対のことですから。

イスタンブールで出会った猫
イスタンブールで出会った野良猫。レストランで食事中、足もとにおねだりにきた。イスタンブールの街では野良猫がわりと自由に暮らしている

採卵鶏の飼育状況の違いが分かる写真
採卵鶏の飼育状況の違いが分かる写真。上は中国で撮影された従来型のケージ。下は止まり木や巣箱などが設置された福祉型ケージ